検査をクリアした3人は白衣を羽織り、アナスタシアと一人増えた編み込み髪型の美女の後に従い、施設の奥に進んでいく。
彼はとにかく自分がどうして死ぬかも知れないのか気になって仕方ないが、アナスタシアはそんな緊迫感に気づかず振り返り、彼に童貞かどうか訊ねた。
キスや性交渉はしておらずとも儀式を済ませたアナスタシアはもう半分夫婦になったと思っていたので、彼の周りが美女ばかりなのが気になっていたのだ。
彼が絵理沙やマリアたちとまだしてないと分かれば一先ず安心したが、取りあえず正式に結婚するまでは誰ともしないで欲しいというのがアナスタシアの望みだった。
正式に結婚すれば彼が日本に君臨するなり好きにすればいいし、絵理沙たちは側室になればいいと、ナイスアイデアとばかりに提案した。

すると編み込み美女のオリガは姫の寛容な申し出に咽び泣き、浮世離れした感動の一幕は一旦終了した。
そうこうしているうちに設備が整っている施設の中心に着いた。
最新鋭の設備に絵理沙は驚き、マリアは驚きを通り越して目を輝かせ、この国だからこそ実現した光景だと饒舌に語り出す。
若く美しい女性科学者が色めき立つが、これだけの設備があっても特効薬を開発できなかったことにアナスタシアの表情は沈み、シン博士がいれば設備を持て余すこともないのにとぼやいた。
その名前に、また二人は色めき立った。
ラギーニ・シン。
インド出身の彼女は生命科学の権威であり、とにかくその業界では高名な科学者だということを、マリアはオタクにありがちな好きな分野になると饒舌になる癖を発揮して説明してくれた。
曰くアナスタシアによれば、シン博士は特効薬開発の成果が全く出ないことに絶望し、1年も前から隠遁生活を送っているのだそうな。

そうと聞いたら、彼はすぐシン博士に会いに行くことを決め、居場所を訊ねた。
山脈が連なる一角、登山家たちがこぞって足を運びそうな場所にシン博士が住む丸太小屋が建っていた。
たった一人の半袖普段着でやって来た彼は、気難しいらしい博士に緊張しながらドアを叩いて呼びかけた。
しかしうんともすんとも返事はない。
だが、小屋の横手からパチパチと木が爆ぜる音と煙が出ているのに気づいた。
まさか火事か思って回り込むと、日本の僧がやってそうな炎の行を全裸の褐色美女が行っていた。

まるで明王のような出で立ちの彼女は、驚く彼の視線に平然と視線を合わせ、お客さんかいと一言。
ただの日課だというシン博士は、自己紹介される前に彼を水原怜人だと見抜いた。

気難しいどころじゃなさそうな博士に息を飲んだ彼は改めて挨拶し、事情は察しているらしい彼女にさっそく特効薬開発に協力して欲しい旨を伝えようとするが、彼女は途中で遮り、食事を優先した。
素焼きの壺の中で薪を燃やし、内側に貼り付けて焼きあげるナン。
その日暮らしの昔ながらの炎が身近にある生活を、シン博士はこれくらいの文明レベルでもいいかも知れないなんて語り、日本にもいる同じような生活しているコミュニティに言及した。
そして、ウイルスで男が死滅しかけているのも神が与えた罰かも知れないと持論を述べた。
それは、科学者だからこそ解決策を作れない自分に歯がゆさを感じ、誰かを失っている博士なりの逃避に聞こえた。
更にシン博士も、MKウイルスの結晶を使って開発しようとしている彼に、死ぬよと釘を刺した。
なぜなら、彼はまさに被検体にならなければならないからだった。
高濃度MKウイルスを体内に打ち込み、病原体タンパク質を採取、精製してワクチンを開発。
その過程で、MKウイルスの増殖に抵抗力が負ければ、待っているのは死あるのみだと博士は説明した。
ちゃんと訳を知った彼はそれでも、自分がやれることから逃げるつもりはなかった。
その潔い覚悟に、シン博士も彼が童貞かどうかを訊ねた。
彼はまた恥ずかしながら、体質変化も考えて童貞を貫いていると答えた。
するとシン博士は全くの逆だという。
ワクチン開発には非童貞という条件が必要なのだと、ナンを食べながら言い切ったのだった。

感想
終末のハーレム65話66話でした。
一国の主の家で育てば世間の常識にも鈍くなるのはしょうがないので、驚くほど話の通じないお姫様でもなかったですし、覚悟を決めれば相当ヤれるところはいい感じでした。
死ぬ可能性がある実験は意外とまともな理由でしたが、なぜ女性の身体を経験している必要があるのか気になります。
https://www.kuroneko0920.com/archives/60886
































