105話
ペコが無事に処女を喪失したおかげで屈強なパイコーンは彼女を受け入れ、一人増えた影響など一切感じさせず力強い走りで彼らを目的地へと運んでくれる。
道中、彼は木々の隙間から見えるカリオストロの城みたいな城が気になった。
休憩場所の川のほとりからも正面に城が見えるので彼が話題に出すと、この世界の女の子たちは漏れなくあの城で生まれ、物心つくかつかないかの年齢で各町に旅立つから、誰も城内でのことはまともに覚えていないらしいと分かった。
誰も顔を知らず、何千年も生きているらしい城主の国母様とやら。
彼はどう考えてもそいつも魔女で、なかなかエグい感じで子供たちが生まれているのだろうと思うが、国母様を崇拝しているっぽい彼女たちの前で下手なことを言うのは止めておいた。

休憩を切り上げてまた歩みを進めると、スリーピーホロウみたいな雰囲気の森に差しかかった。
最短コースだしスピードが出し辛いのでパイコーンの疲労軽減にもなる合理的で不気味な森の中を進んでいくと、いきなり助けを求める少女が飛び出してきた。
そして、少女を追ってモンスターの群れまで現れた。

気持ち悪い顔面のモンスターはコボルトで、ルーミ曰く少女と金属が大好きな奴らは、見た通りに少女を狙って追いかけ、ついでに自分たちの武器も奪い取るつもりだろうとのこと。
すると交尾の時だけはしおらしいペコが立ち上がり、コボルトを何ともいやらしいドヤ顔で嘲り笑った。

そして斬りかかるや一閃で数匹を一刀両断して、先制攻撃を大成功させた。
仲間の上半身が切れ飛んで地面にボタボタ落下すると、残りのコボルトは力量差を感じて素早く逃げ出したのだった。
性格の悪さを滲み出して有言実行で返り討ちにする実力は申し分ないが、怯えた少女に優しく微笑みかけられる一面を目の当たりにした彼は、凄すぎるギャップに見惚れてしまう。

ルーミもその慈悲深い微笑みで今は亡きペコの妹を思い出した。
しかし、少女を街に送り届けたいという願いは却下し、彼もパイコーンに乗れないから仕方ないと加勢すると、彼が少女にまで手を出そうとしていると思ったペコは顔を真っ赤にし、単独行動で自分が送り届けると言い出した。
だからルーミは、ペコ一人じゃとても生きられるものではないと忠告するが、プライドを傷つけられたペコはまた醜く顔を歪めて怒りを露わにした。

後輩の煽りなど気にもしないルーミは最適な解決法があるといい、アマネに委ねた。
そしてパイコーンから降りたアマネは一切躊躇せず、少女の腹を貫き始末したのだった。
非情や冷酷の言葉では生温い行為。
声もなく息絶えて天を仰いでいる少女を振り返ったペコは槍を握ってルーミたちとやり合おうとしたが、もう一度しっかり見ろと促された。
腹を貫かれて死んでいるのは、コボルト並に気持ち悪いグールだった。

端から少女がグールだと気づいていたルーミとアマネ。
戦闘力だけでなく、外の世界を生き抜くには外敵の知識も持っていないとすぐ死ぬことになると分からせるために、あえてペコを泳がせていたのだ。
何も言い返せないペコが悔しさで歯を食いしばっているところに、彼は自分の交尾のおかげで今も生きていられるんだと恩を要求し、食い気味に死を願われた。












































