58話
防犯ブザーを作動させ、津崎を誘き出し、二人がかりで襲いかかったまでは良かったが、アヤメ救出を優先して梨沙に任せたものだから、さすがに女子一人で鬼畜外道男には敵わず、返り討ちにされてしまったのだ。
今まで散々利用してきた女に手を上げることなど朝飯前な津崎はナイフ片手に女という性別をバカにし、梨沙を不必要に床に叩きつけた。

そこそこボコボコに殴られた津崎の怒りは当然、善にも向けられ、得物を持っているのをいいことに脅しつけて殴り始めた。
次々と罪を上塗りしていく津崎を止めようとするアヤメだが、今度は彼を人質に取られ、立場が逆になってしまう。
元から歪んでいたのと育てられ方を間違えられた津崎は暴力を振るうたびに高笑いし、殴った拳も痛くなるという感覚も概念もない。
その時、たくましく這い進んだ梨沙がハサミを津崎の足に突き刺した。

クズを見限れるまともな考えを保っていた梨沙の反撃で生まれた隙をアヤメは逃さず、母に叩き込まれた体術の回し蹴りを鬼畜の横っ面に叩き込んだ。
この一撃で津崎は倒れた。
アヤメは自分をハメた一人だろうと津崎退治のアシストをしてくれた梨沙にお礼を言い、ボカスカ殴られた彼を心配した。
彼が顔を押えながらも大事なさそうだと分かると、気を取り直して津崎に然るべき罰を与えることにした。

罰縛りを完成させてもなかなか起きないので尻をしばき、ようやく津崎は目を覚ました。
恥ずかしい四つん這いに仕上げられた津崎は自分の罪や立場もなんのその、まだ偉そうに解けと喚くが、最早自由を奪われて何もできず、梨沙は遠慮なく鞭で尻をしばきまくってやった。
そしてアヤメはただの犯罪者暴力野郎に、合意の上のプレイと傷害の違いを説明してやった。

もちろんその程度でされたことに見合わないので尻叩きシーンをSNSで拡散してやろうと思ったが、お人好しの善が罪を憎んで人を憎まずの精神でいるので、アヤメは彼の慈悲の心を尊重して勘弁してやった。
心配していた美羽にも無事を伝え、梨沙ともなんだかんだいい雰囲気のまま別れ、アヤメと彼は二人で家路を辿り始めた。
これにて一件落着ではないが、彼は酷い目に遭ったアヤメの身体的ダメージを心配し、不安になった。
本人はそんなやわな女じゃないと胸を張るが、しかし今の彼はその強がりを鵜呑みにせず、ちゃんと強く確かめ、弱音を吐き出しやすいように促した。

アヤメは思い出した。
今日より酷い目に遭ったあの日、守ってくれるはずの母親から欲しかった言葉をついぞもらえず、自分を押し込めてきたこと。
しかし巡り巡って、大切な男の子からもらえたこと。
本当に嬉しい場面だったが、それでも年上の強気な女の仮面は取り去れず、いつか甘えられる自分になりたいと思いながら一歩前を歩き出したのだった。
感想
罪と快56話57話58話でした。
これでなんやかんや津崎がパクられてくれればいいですが、次はいよいよ最終回。
ともあれ、梨沙への傷害罪もプラスされましたね。






































