32話
事件が収束してから半年が経った。
就活の時期に差しかかっているエミは、友人でさえも一躍有名になった両国アツシと同じ大学というだけで、面接でも彼に興味を持たれるんだとよく聞かされていた。
かくいう、彼と深い関係にあったエミは別れをしっかり受け入れ、前を見て進もうとしていた。

同時期、潔白が証明されたるるなはアイドルとして復帰第一弾のライブに臨もうとしていた。
メンバーの心配をよそに、待ち続けてくれたファンの声に後押しされているるるなは、アイドルは待ち焦がれられてナンボだと気丈に振舞い、一人を愛する素晴らしさを知ったアイドルとして再復活を果たした。

ユメノは夜の仕事を辞めて、キャリアウーマン然とした井出たちで新しい会社を興そうとしていた。
そこに大した充実感はなかったが、組長の父が穏やかさを保てるならそれはそれで悪くないと感じていたし、感情がすぐ顔に出る組員の大道が運転手をしてくれているので、今まで通りの感じでいられた。

そして稀代の極悪警官の蔵前と、稀代の極悪芸能人の本城は捕まった後、互いに罪を擦り付け合おうとする浅ましさまで発揮し、世間は悪意を越えて呆れかえっていた。
そんな外道共の犯罪に巻き込まれた両国アツシは大学を辞めた後、雰囲気と名前を変え、しがない派遣バイトとして暮らしていた。
冤罪が証明されたとしても、金を用意できなかった以上、ヤクザからはまだ完全に解放されたわけではなく、世間からの疑いの目も消えず、未だ悪意に晒され続けていた。

それも女の子たちを利用してきた報いだと思って受け入れていたある日、サクラの居場所が分かったという山之内からの連絡があった。
本城を返り討ちにした直後、サクラが忽然と消えてから半年、判明した場所はもう閉鎖してしまった児童養護施設だった。
サクラとの約束を思い出していた彼は、サクラと再会したらもう死ぬつもりだった。
しかし教えられた正確な場所に向かおうとしたその時、擦れ違い様にぶつかってきた何者かにナイフを突き刺されてしまうのだった。

そして最終話へ繋がっていく。
擦れ違いざまに刺された彼が目覚めると、そこは目的地の病院だった。
消えることのない世間からの悪意、思い込みで断罪しようとする異常者、彼と結婚したいという強い想いを胸に意識だけで動き続けた健気な少女…
そして彼は、15年越しに約束を果たしに行くのだった…
感想
ドクザクラ30話31話32話33話にて完結です。
思ったよりもさっぱり小奇麗に収めた結末で後味は悪くないですが、予定通りなのか駆け足になったのか分かりませんが、どこか物足りなさを感じますね。
ともあれ、次回作を期待したいコンビでした。












































