触手侵入
豪華客船富岳は大きなダメージを受けても航行に支障はなかったが、怪獣は左舷から姿を消すと、今度は船底にしがみついた。
乗客の不安を解消しようと船内アナウンスが流れるが、実際に見た者たちは沈められてもおかしくないと分かっていた。
このえも行方知れずの祖母を探しに行こうとしたその時、海上幕僚監部の弘原海と名乗る男から電話がかかってきた。
その名前は防衛大で講義をしてくれた海将補だった。
特殊操作でこのえに直電をかけた弘原海の用件はもちろん、任官前とは言え、富岳の乗員乗客救助ために働いてもらうことだった。

より一層決意を強くし、気が引き締まる思いになれたこのえは了解すると、テレビ電話に切り替えて船内の様子を映しながら、指示に従って近くの船員に案内を頼み、ブリッジに急いだ。
しかしブリッジはガラス窓がぶち破られて機器もボロボロになっており、誰もいないしあちこちに血が飛び散っていた。

直後、浸水と火災を知らせる警報が鳴り始めた。
船底にしがみついている怪獣は爪のようなもので外壁をぶち破り、機関部をパニックに陥れていた。
機関室、ブリッジ共に沈黙する中、残された船員は自発的に乗客を救命艇に避難させ始めていたが、それを見逃さない怪獣は封神演義の禁鞭のような触手をうねらせる。
そして早く早くと乗り込むのを急かす女性に襲いかかり、パクっと搦め取って海中に引きずり込んでいった。

それを皮切りに大パニックが起こり、触手は次々に乗客たちを喰い捕えていく。
迷子の子供の親を探してあげていた祖母は、救命艇の奥で縮こまっていた。
一方、ブリッジの状況を確かめていたこのえは生存者を一人発見し、その彼から何があったのか訊こうとした矢先、触手が侵入してきたのだった。
生存者の彼に食いついた触手。
しがみ付かれて一緒に飲み込まれそうになるこのえ。
鍛えた足で壁に踏ん張り、再び命を懸ける。
案内してくれた女性船員の斧一閃。

偶然にも皮肉にも彼と女性は恋人同士だった…
感想
怪獣自衛隊1巻でした。
面白度☆8 映画度☆8
これはまさにモンスターパニック映画みたいですし、実写映画も十分できそうですね。
ヒーローでヒロインのこのえもまさに主人公らしい不屈の意志がカッコいいですが、船上で最後まで行くのか陸地まで戦いは続くのか、どちらでも期待が膨らみます。
https://www.kuroneko0920.com/archives/74436












































