新たな命と不測の事態
プリシラ別動隊が上手く作戦を遂行できている頃、娼婦たちは行く手が落盤により塞がれて立ち往生していた。
最優先は助けてくれる友好国の船の出航時間に間に合わせること。
その為には最短最善ルートのこの道しかないが、大岩で塞がれてどうにもできそうにないものの、岩はそこだけで奥から風が流れてくるので発破で破壊できれば通れるようになる。
不測の事態に続いて妊婦が産気づいてしまい、一刻を争う状況、プリシラたちが持ち運ぶ火薬が必要だと伝えるため、一人が走った。

無事に合流するとまず護衛二人を先に行かせ、プリシラは負傷したローラに肩を貸して行くことにした。
元々は姫と侍従、そして共に学び育って姉妹のように時間を過ごし、再起のために炎を灯し続けてからは、プリシラには親友と呼べる相手になっていた。
ギリギリの状況になった今、二人は懺悔と希望を共有し合った。

先行して先頭集団に辿り着いた護衛二人は崩落の様子をしっかり見るために鉄仮面を外したのだが、その素顔に多くがざわざわ騒然となった。
整った顔立ちなのは見てとれるが、顔の片側ずつ酷い火傷で爛れていたのだ。
この国の兵士でプリシラとは縁も所縁もない立場だったが、美少年だったせいで獣たちから性処理の相手に選ばれてしまい、苦痛の日々から抜け出すためにお互いの顔を焼いたのだという。
その境遇を娼婦たちと重ね、プリシラを敬愛の対象に据えたのだった。

そして火傷さえ見えなければ、屈強な体と整った顔立ちは女をトキメカせるには十分だった。
発破が無事に成功して瓦礫を排除し始める中、いよいよ妊婦の出産が佳境に入り、希望の道が切り開かれると同時に新たな命が誕生した。
眩く照らされる赤ちゃん。
夥しい出血でも我が子を抱き、しっかり名前を授けた母。

しかし劣悪な環境と何もケアできないせいで母は我が子を一度抱いただけで逝ってしまい、共に人生を歩めなくなってしまうのだった。
それでもゆっくり感傷に浸っている暇はなく、また赤子を見せに来ることを約束して外に飛び出したが、隊長の言う通りに何人かが待ち受けていた。
銃を装備しており分が悪そうだったが、プリシラを本気で感じさせた男ジエゴが狙撃と素晴らしい格闘術で助太刀してくれたのだった。

サンミサの大火と兵の動きから反乱を感じ取ったジエゴは、プリシラへの借りを返すために駆けつけたのだ。
人殺しから人助けに変えたジエゴの突然の介入に驚かされる一行だが、計画がバレて時間も押した今、船の出航を遅らせてもらう交渉をする危険な先発組にジエゴに入ってもらい、他はいくつかのグループに分けて船を目指すことにした。
そしてプリシラとローラは出口直前で、亡くなった子の手に状況報告の手紙が握られているのを見つけ、感謝を伝えて先を急いだ。

その頃、サンミサに残った娼婦たちにも動きがあった。
捕まればほぼ殺される地獄か、緩やかに殺されるここか。
まだ迷いに迷っていた者たちがやはりプリシラたちを追いかける決断をし、間に合うかどうか分からない中でも燃え盛る街の中で今生の別れを惜しんでいた。

数時間後、サンミサが焼失した。
火傷兄弟とジエゴ率いる先発隊が海まで目前に来た時、小賢しく知恵を働かせて待ち構えていた一部隊に襲撃されてしまう。
女が一人撃たれてしまうが、他の女たちが協力して手を貸して進み、男3人で迎え撃つ。
醜い欲望の利己精神と、危機的状況でも他者を助ける利他的精神のぶつかり合い。

そして確かに船はちゃんと待ってくれていたのだが、プリシラもいない中、本来の出航時間を遅らせてくれるほど相手はリスクを取ってくれなかった…





































