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非情な別れ

プリシラはここでも乗り込むのは最後でいいと譲り、生まれたての命を優先する気高さを見せ、まさかの凶刃からも仲間と赤子を庇ったのだった。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

気高き亡国の王女を刺したのは、家族を養うために兵士になるしか選択肢がないと思い込んだ憐れで不憫な少年兵。

 

鬼気迫る様子は覚悟の表れ、自分と家族を守るために大きな手土産が必要な戦乱の世の犠牲者だった。

 

その時、セクメトが豪快な泣き声を上げたことで少年兵が気を取られ、プリシラは掴まれている髪を切り裂いて距離を取ろうとするが、少年兵の追い打ちの方が早く、次は腹を引き裂かれてしまう。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

肩口、次は腹。

 

致命傷になってもおかしくない傷をプリシラが負わされれば、呼応するように船は岩礁にぶつかって船室に穴が開き、海水が雪崩れ込み始めた。

 

しかし諦めるような大穴ではなく、すぐに塞ぎ、水を掻き出そうという意思が伝播して意思が統一された。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

衝突して敵対さえしそうだった別の国の者同士で、無事に海を渡ることを目指して協力し合う、人間だからできる美しさがそこにあった。

 

 

そしてプリシラを傷つけたガキ共をアベルが始末しようとする前に、ジエゴがぶん殴るに止めて、話を聞く時間を与えた。

 

殺されかけた相手に対し、穏やかに問う亡国の王女。

 

生まれで苦労し、それでも家族の為にも成り上がれる兵士になり、しかしお零れさえも手に入らず、より戦力にならない少年は性欲の捌け口にされる地獄。

 

だから反逆の首謀者を討ち取るという大手柄は彼らにとって最大のチャンスなのだが、恐怖の対象は鬼畜外道のカールのみ。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

少年とは言え、結局はその他大勢の腐った男たちとそう変わらない思考回路。

 

生きるために弱者を斬り捨て、殺し、正当化する悪魔。

 

ただそれでも、生まれる時代と場所に毒された被害者でもある。

 

だからプリシラは少し恨み言をぶつけながらも、地獄の螺旋から抜け出せるように抱きしめた。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

こうして後々に禍根になるかも知れない少年兵を見逃したプリシラは、彼らを見送った直後に我慢の限界を超えて倒れた。

 

荒れ狂う海に漕ぎ出すボート。

まさに決死の綱渡り。

血を這う亡国の王女
著者名:我妻幸 引用元:血を這う亡国の王女3巻

 

 

そして手術できるような環境も設備もなく、そこまで高度な腕もない船医しかいない船に辿り着いてもプリシラを助けられる見込みは0に近く、少しでも助けられる可能性がある選択肢は、それもまた非情な別れになるものだった…

 

 

感想

血を這う亡国の王女2巻と3巻でした。

クズが潰されたのはスッキリ、それでもしつこい禿げの末路にもスッキリでしたが、涙を誘う展開でした。

なんだかんだ、RPGに使えそうなシナリオだと思います。

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