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3話

運転手は逃走し、ちかを担いで病院に運ぼうとする途中で警官に遭遇し、彼女を託して身を隠した。

 

広田は化け物になった代わりに、人を超越した身体能力を手に入れていた。

 

 

病院に運ばれたちかは、もって3日の診断が下され、それを広田は病室の窓の外の壁に貼り付いて聞いていた。

 

 

 

あの洋館に引き返し、美輪子に全ての責任を押し付けて襲い掛かろうとしたが、「お座り」の一言で体が勝手に床に伏せた。

 

美輪子は広田の大切な人間が死にかけていると知り、救ってあげてもいいと囁いた。

 

交換条件は、新鮮な心臓を献上することだった。

著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫1巻

 

 

4話

それは今まで壮一が担っていた役目だった。

 

美輪子には心臓とそれを狩る者が必要なのだと言う。

 

 

広田を大量出血から救い、両足を繋げた事実を持ち出し、ちかを助けられるかは自分次第だと広田は迫られた。

 

 

 

街に出て人の流れを眺めていると、狩れという声と共に人々の顔が心臓に見えた。

 

それでも人殺し等とてもできる気がせず、頭を抱えてちかに謝るしかできなかった。

 

 

これも全て壮一と美輪子のせいだと思った時、偶然にもあの轢き逃げ犯の男を見かけ、もう一人この事態を引き起こした憎むべき相手がいることを思い出した。

 

その男を尾行し、事故車を隠したガレージの中に忍びこみ、あの時すぐに救急車を呼んでいれば助かったかも知れない事実を突きつけ、心臓を奪ってやろうと襲いかかった。

著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫1巻

 

 

しかし、責任を取り罪を償うべき男が相手でも、やはり人を殺す重圧には耐えられそうになかった。

 

 

5話

男は涙を流して謝り出した。

 

広田は首にかけていた手を離し、そこから出ようとした。

 

すると男が急に苦しみ出し、胸を押さえてもがき、程なく事切れた。

 

 

腕には広田がつけた引っ掻き傷があったが、心臓の持病があったのか広田が殺したのかは分かりようがなかった。

 

 

 

広田は自分のせいではないと言い聞かせ、死体を屋敷に運んで美輪子に差し出した。

 

新鮮な心臓を、と言ったはずだと彼女は咎めるが、最初の仕事なのを大目に見て、心臓を抉り出すよう指示した。

 

広田はこれ以上恐ろしいことをしたくなくて、何度目かの大声を上げて拒否しようとするが、それが彼女の癇に障ってしまい、唇を上下で縫い合わされた。

著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫1巻

 

 

そして無理やり腕を掴まれ、男の身体に抉り込まされて結局心臓を取り出すハメになった。

 

 

 

その直後、広田は気を失った。

 

美輪子は取り出したばかりの心臓をギュッと握り、気を失っている彼の口に血を流し込んだ

 

 

6話

翌朝になって目を覚ました広田は、自分の姿が元に戻っている事に気づいた。

 

カーテンの隙間から差し込む光にも肌は焼かれなかった。

 

テーブルにはちかの片腕と、美輪子の牙から抽出した液体が入った小瓶が置いてあった。

 

 

広田はまっすぐに病院に向かい、ちかに千切れた片腕をあてがい、そこに小瓶の液体を垂らした。

 

するとみるみる腕が繋がっていき、ちかの体がビクンと跳ねた。

 

 

ちかの両親がやって来たので隣のベッドスペースに隠れ、彼女が何事もなかったかのように目を覚まし、腕も完治しているのを見た両親が泣いて喜んだのを確認してから、病院を後にした。

 

 

そして自分の家にも帰り、今度は母親が泣いて喜ぶ姿を見て、広田も安心感から涙を流した。

 

 

 

それから何も知らないフリをしてちかのお見舞いに訪れた。

 

そこで逆にちかの方が広田が無事に戻ってきてくれたことを喜んでくれるので、彼も素直になり、もうこの手は放さないと応えた。

著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫1巻

 

 

それから飼い犬がもう懐かずにうなり声をあげてくるようになった変化も深く考えず、今までの日常が戻ってきたのだと思い込んだ。