33話
友達が逃げ切れずに無残な最期を迎えても彼女は止まっている場合ではないと思い、再び生きるために走り出した。
もちろん、都心ではどこもかしこも阿鼻叫喚の地獄絵図がどんどん拡散していっていた。
母親が瓦礫の下敷きになってぴくりとも動かなくなった傍で、年端もいかない子供が大声でママーと泣き叫んでいる。

遮るもののない道の真ん中に留まっているものなどおらず、子供は奇跡的に生き永らえている状態だった。
とにかく走って走って走り続けている彼女の周りにも、絶叫しながら逃げている人々がいたが、瓦礫が落下してきた音と同時に誰かのくぐもった呻き声も重なっていた。
観光客か、日本在住なのか、外国人カップルの彼氏の方が血塗れで動かなくなった彼女を抱きしめ、無慈悲な境遇を嘆いて絶叫していた。
また一人の警察官は、ただジーっと破壊神を見上げていた。
そんな中でも黒髪の彼女は泣き叫んでいる子供を見つけると一目散に駆け寄る優しさを見せた。
そして、子供の目の前で母親らしき女性が瓦礫の下で事切れているのも見つけ、子供からもらい泣きして滝のように涙が零れてきた。

それでも、生きているその子まで死なすわけにはいかないと思い、手を引いてまた走り始めた。
その間もずっと瓦礫の雨が降り注ぎ、子供のすぐ後ろを走っていた男にヒットするほど、二人はギリギリの中で奇跡的に生きていた。
しかし破壊神は逃げ惑う東京民を嘲笑うように、ビルに渾身のフックを叩き込み、へし折った。
目の前でビルが大爆発した光景に目を奪われた彼女はもう逃げることを諦め、子供を守るように抱きしめてその場にしゃがみこんだ。

直後、目の前に戦車が到着した。
戦車はすぐさま破壊神に砲撃を開始するが、相手も対策をしてきたのか、バリアで防がれてしまうのだった。

































