94話
チョンギロウとの決着がついても、三日土は苦戦を強いられていた。
声の能力で三半規管にダメージを受け、視界がぐにゃぐにゃと歪んで距離感どころではなくなっていた。
このままキラーチューンを聴き続けるだけで、やがて死が訪れる。
三日土は闇雲に剣を振るがまるで見当違いの方向を向いてしまっていた。
ホーイチはヤケクソに見える三日土を小バカにしながらも、じわじわと死に近づいているのを見世物小屋のように眺めていた。
三日土が急に大人しくなってスッと構えを取っても、どうせ当たる訳がないと思い、油断しまくっていた。
そのせいで、しっかり狙いを定めた突きに全く対処できず、あっさり喉を貫かれてしまう。

そして喉を半分切り裂かれてようやく、キラーチューンを防がれていたことを思い知った。
ホーイチが何て言ったのか聞き取れなかった三日土は耳穴をほじくり、種を説明してやった。
ご丁寧に能力が声で振動を利用していると分かったから、皮膚の下を硬質化してギリギリまで振動を防ぎ、耳には吸音構造を詰め込み、音をシャットアウト。
ベラベラ自分の能力について喋ったことが敗因だとアドバイスした三日土は、もう聴こえていない死体になったホーイチを皮肉ってタワーを後にした。

一方、ユママに腕を回復してもらった蛇ヶ崎がベンチで一休みしている間に、仲代たちはそれぞれ無難にアトラクションを制覇してポイントを集め終わり、合流していた。
ユママは腕の具合も含めて蛇ヶ崎を心配するが、仲代は殺されてもおかしくなかったチョンギロウ戦を蒸し返し、いつものおちゃらけた感じで非難した。
それを甘んじて認めた蛇ヶ崎は素直に謝るが、ベルを危険な目に遭わせたことに対する自分を責める気持ちで悲劇のヒーローになり、かなり自暴自棄が入っていた。

迷惑をかけられる側の仲代には全く響かず、バカにした笑いを返して話を切り上げた。
そのタイミングで三日土も合流。
まずユママにイカれた耳を治してもらいながら全員が1万p集めたことを確認すると、蛇ヶ崎にピノの弱点についての見解を伝え始めた。
触れた生物の身体を壊死させる殺人細菌なら、熱の変化が弱点になるはずだという。

適度な温度と湿度を必要とする細菌を殺すなら、凍てつく寒さで凍らせるか焼けつく炎で焼き殺すか。
それでも手の内がバレているのはお互い様だから簡単ではないと忠告するが、蛇ヶ崎はどこか上の空。
それをまた仲代が皮肉るが、耳を治してもらい終わった三日土は構わず、シンプルに命令を下した。
正義を貫いて半壊人の殲滅。
城に続く階段を上り始めると、仲代がゲーム脳を発揮してはしゃぎ出し、ユママが緊張感の無さを注意する。
そこで蛇ヶ崎も口を開き、いつもの命令が抜けていると指摘し、半壊人を人間と思うな、と付け足した。
それで全員の士気が上がった。

何が何でも殺す。
どんな手段でもベルを助ける。
そんな思いを胸に秘めながら門を開けて中に入ると、いきなり玉座の間でノーメンが待ち受けていた。
感想
ジャガーン92話93話94話でした。
ポテンシャル的には半壊人側の方が上回っていそうなので、ユママたちの助太刀に期待が持てそうだと思ったら、その通りナイス仲代でした。
https://www.kuroneko0920.com/archives/61707






































