アルクは追い込まれていた。
突然現れた助けを求める女性に応えたのはいいが、敵は泣く子も黙るフェンリル二体。
バカなオークよりも段違いに俊敏でよほど厄介な相手だった。

一頭が正面から襲いかかってくると、アルクは不安定な雪面でもなんとか避けて懐に潜り込み、上手く腹に突き刺してカウンターに成功。
しかし体勢が悪いまますぐに立て直せず、無防備な右腕をもう一頭に思いっきり噛みつかれた。
満足に握れなくなった利き腕を諦めて左手で剣を握り、獰猛な魔獣と相対す。
背後に神に祈りを捧げる女性がいる以上、尻尾巻いて逃げるわけにはいかなかった。
戦闘力が半減した状態で果たして勝てるのか。
その時、背後から忍び寄っていたウェンヌが何も気づいていないフェンリルの脳天に丸太を振り下ろし、一発で仕留めたのだった。

駆けつけてくれたウェンヌに強がって女性を介抱するよう頼むアルクは、右腕が洒落にならないほどじゃなくても、マハトの力が自身の肉体を強化してくれないことに歯痒さを感じた。
その時、二体目を仕留めたウェンヌが不穏な気配を感じ取ると、やがて呻り声が近づいて来た。
最初の二頭は単なる斥候的ポジションだったらしく、10頭以上はいるフェンリルの群れが現れた。
アルクはまた絶望に戦慄き出した女性を連れて逃げろとウェンヌに指示するが、愛しのご主人様をおいて逃げるなど一線を越えた侍従の名折れ。
最早アルクより遥かに強い戦力で助太刀しようと思ったが、さっきまで軽々持ち上げられてた丸太が全く上げられなくなっていた。
ウェンヌのマハトも最悪のタイミングで切れてしまい、いよいよアルク一行は死を覚悟しなければならなくなった。

一般女性とメイドと手負いの少年剣士一人。
策もなく、フェンリルがじりじりと距離を詰めてきたその時、更に獣たちの後ろから一人の女性が近づいてきた。
命知らずな行為を何でもないようにする女性に当然フェンリルたちは襲いかかるが、彼女は目にも止まらぬ速さで一頭を薙ぎ払った。
集団で襲いかかられても、自然の脅威のような雪の魔法を行使し、フェンリルの群れを一網打尽にしたのだった。

その魔法騎士の顔がはっきり見えてくると、怯えていた女性は安堵に打ち震え、英雄を待ち侘びたように手を伸ばした。
それをすり抜け、何人もの兵士が駆け寄り、粛々とアルクとウェンヌを取り囲んだ。
命を救ってもらいはしたが、フェンリルの比ではない厄介そうな相手と対峙することになったアルク。
命の恩人か、はたまた旅を邪魔する脅威となるか。
魔法騎士はゴーチェ白虎騎士団団長のキャシア・ウェスキーと名乗った。

感想
終末のハーレムファンタジア15話でした。
付き合いは短くても、もう結構呼吸が合っている感じですね。
助けた中から回復役が仲間に加わるのか、知る人ぞ知る有名人が加わるのか、ポンコツ風でも実力は確かなドジっ子が加わるのか。
キャシア率いる白虎騎士団は、全員が女性で構成されてそうで期待が高まります。
https://www.kuroneko0920.com/archives/62462
































