102話
まさかの鬼怖い先生が、憧れのミナト先生だった。
目をキラキラ輝かせて次回作を楽しみにしていると伝える彼だが、先生はきっぱりもう漫画は描かないと返したのだった。
自分の部屋に戻って夕食の準備を始めた彼は、ミナト先生に会えた喜びと次回作を読めない悲しみに揺れ動く情緒不安定の中で、どうにか描いてもらえないものかと悩み始めた。
その時、壁越しに先生のただならぬ声が。
憧れが過ぎて妄想たくましく心配が募る彼は玄関のドアを叩き、返事の代わりに何やら痛がる声が聞こえたので中に飛び込んだ。
そして、今度はあられもない先生の全裸が視界に飛び込んだ。

しかし、何一つ惜しい所さえ見当たらないパーフェクトボディに欲情するより先に、右手首を押さえているのを心配した。
全裸でまた手首を掴まれた先生は隠す手の片方の自由を失い、仕方なく股間を優先すると頬を赤らめて訴えた。
そこでやっと揺れる先生の美巨乳を認識した彼は距離を取った。

どうやらシャワーから水しか出なくて驚き、スっ転んだだけらしく大事はなくて彼はホッとするが、ガス会社に連絡することも知らなかった世間知らずさも可愛く感じ、自分とこのお風呂を使ってもらうことにした。
先生もありがたく厚意を受け取るが、右手に関しての自暴自棄感はそのまま。

そんな気持ちを諫めてまた漫画の話に持っていこうとするが、先生は描くつもりはないと突っぱねる。
だから彼は、トラウマ的なものがあるのかもと感じるが、先生に語るつもりはなかった。
初めて読み切りが掲載され、初ファンレターまでもらった時の先生は有頂天になり、もしかしたらアンケ1位も取れるかも知れないと夢を見ていた。
しかし、悪意ばかりが蔓延るネットの感想を見たのと相まってアンケ結果も散々に終わってしまい、一瞬で描く意欲を失ってしまったのだった。
最早、熱いファンレターを送ってくれた彼にも申し訳なく思った先生は、漫画編集者を目指すきっかけを与えてしまったことを詫び、自分の才能の無さをこき下ろした。

だが彼は認めず、強く言い返した。
人ひとりの人生を変え、進む道を教えてくれた作品を描ける人に才能が無いわけがないと。

もちろんそう言ってくれるのは嬉しいが、先生はもう未練さえないんだと言い返す。
しかし彼はそれも否定し、ファンレターの返事に何を書いてくれたのか朗読し、改めて今の気持ちを訊ねた。
先生は思い出した。
漫画を読むことで救われていた、辛い幼少期の頃を。
金髪ロリ美少女からヤンキー風金髪美女になった今も、漫画への情熱は変わっていなかったのだ。
































