不思議な少女
もちろんアイドルを捕まえてゾンビに華を添えるのではなく、ゾンビ発生時にスーパーアリーナで行われるはずだった格闘技イベントの出場者、日本最強総合格闘家の武田ガロウを捕獲するためだった。

武田ガロウがゾンビ化してアリーナに留まっている可能性が高いと信じつつ、もちろん他の格闘家もできるだけ捕獲してA級を一気に増やす予定だった。
選手控室を最初の目標に定めると、またドローンを使って建物内の様子を確かめながら、蠢くゾンビを音で誘導して通路の安全を確保していく。
するともう少しというところで、カメラが普通の女の子を捉えたのだった。

ドローンに気づいた女の子も、カメラに向かってこないでと口を動かし、意思を伝えてきた。
直後、ドローンの充電が切れかかり、調査は一旦待たなければならなくなった。
ドローンを充電し直している間、どうしてあの女の子がこの一カ月、ゾンビが大量にいる中で無事でいられたのか考えたが、答えが出るはずもなかった。
サバイバルしているような悲壮感もなく健康的なままなのはあまりに不自然で、こないでと示した以上、行かないのが最善な気がする。
しかし佐藤は、子供が危険から遠ざけようとしてくれているなら助けに行くべきで、あの子も本当は助けて欲しいに決まっていると言い切った。
その熱さにミキは感謝し、目的に女の子救出を増やして再突入を決めた。

ドローンの誘導で通路からゾンビがいなくなり、控室までスムーズに到着すると、普段から使っているだろうホコリの溜まっていない部屋のドアを開けた。
中には予想通り、A級ゾンビに相当する元格闘家がおり、かりんの先制攻撃を華麗に躱したのは佐藤も顔と名前を知っている空手家だった。

室内の電気を点け、かりんは猛烈なラッシュをバットで受け、ひらりと躱し、強い相手と戦えて楽しそうにしながら一人で捕獲は厳しいと漏らした。
直後、ミキが背後から不意打ちを仕掛けるが、ゾンビ佐伯は素早く躱して見せた。

二人の連携攻撃はまるでショーを見せられているように流麗で息が合っていて、確実にゾンビ佐伯を追い込んでいく。
ゾンビになってパワーアップした代わりに思考力や対応力がなくなったことで、二人相手にうまい立ち回りが全くできていないのだ。
佐藤は見惚れながらも捕獲係として役目を果たそうとするが、ゾンビ佐伯はまだ十分に動ける状態で、佐藤に仕掛けてきた。
その時、物陰に隠れていた女の子が佐藤の前に立ち塞がり、動かないでと叫んだ。

するとゾンビ佐伯は素直に拳を止め、躾けられた犬のようにその場に座り込んだ。
本当に止まったことで少女も戸惑っているうちに、ミキはすかさずゾンビ佐伯を押さえつけ、かりんと佐藤に拘束させた。
六花と名乗った少女は、今の今まで命令でゾンビが止められることなど知らなかったと答えてから、今まで何があったのか話し始めた。
出場者で父親の佐伯に連れられスーパーアリーナにやって来た六花が、控室で他の出場者と話していると、急に廊下が騒がしくなり、ゾンビが雪崩れ込んできた。
あっと言う間のことで、父に守られた六花以外はゾンビに変わり果てたのだが、なぜか立花だけは誰からも襲われなかったという。

父や知り合いだけじゃなく、どのゾンビからも襲われなかった不思議。
信じてもらえない不安に襲われていた六花の話を佐藤が信じると伝えて安心させ、彼女はようやく誰かに甘えて泣くことができた。

落ち着いた後、六花の言葉はどこまでゾンビに効果があるのか彼女自身の安心のためにも検証することにしたのだが…
感想
キングダムオブザZ3巻でした。
面白度☆7 ドローン度☆7
滞りなくミキが目指す領土拡大が進んでいますが、二人もゾンビ軍団も無敵じゃないですから、いつかピンチに陥る時がきそうですね。
その時、特殊能力を持つ六花が肝になるでしょう。
https://www.kuroneko0920.com/archives/73783





































