86話
人に竜を宿して何かをさせようと計画する、人ではない異種族の者たちが集う空間。
久しぶりの褐色巨乳ダークエルフのラティは、魔法陣の中で座禅して魔力を高めていた。

厳かな一人だけの時間を邪魔するのは毎度おなじみ、レッタを引きずり込んだ魔族娘、惑溺のオルガスミソニアで、今日も大好物の目玉に齧りつく。
そんなオルガはまだろっこしいラティのやり方をこき下ろし、乳からへそに懸けて浮かび上がる魔力紋を披露してドヤる。

さて、器のレッタは今、命懸けのトレーニング中でまさに生きるか死ぬか読めない状況にある。
そうしてそれぞれが強化に動くのも、父を殺してサクッと後釜に居座った新帝ドゥティアスがヤバいくらいに強いから。
明らかに正攻法じゃない何かで凄まじい魔力を手に入れたっぽいドゥティアスに対抗するには、まず頭数が欲しいところ。
前皇帝を謀殺されてパートナーがいなくなったおばはんポジションのエクスはどこへやら、代わりに新登場したのが縦ロールが高飛車な雰囲気を放つ貪婪のヴァリアクメリア。

彼女らは器同士で争っているようでいて、アルクとレッタは手を結んでいる。
ヴァリアもまた器となる人間を用意するのが使命のようで、今日はそれが済んだからこの場所に顔を出したのだった。
先帝は所詮二級、アルクとレッタもどうせ二級、そうやって見た目通りに二人を煽り倒しながら椅子に座りながら浮かび上がり、椅子を粉々に壊してスパイラルさせる様はまるで、堕天使降臨のよう。
ヴァリアが待ちに待って見つけた約束の子たる器、その人間は武闘派か魔法系か、それともまた別の系統か。

クーデターが成功してから一カ月、先帝ギャリティヌスが殺されたことに加えて、いくつか他にも動きがあった。
ジオはクーデターの流れに乗らずに謀反、クリーガンは盗賊に殺されたことになっていて、かつての四天王は飄々とした灰色のヴァイサリス、女王蜂ブリエンヌの二人になっていた。
もちろん宮廷魔道士のジャバも加え、誰もあのクリーガンがそこらの盗賊に後れを取るなど信じていなかった。

彼らも一応、いつ寝首をかかれるか分かった物ではない危機感はあり、特に亡国の王女が中心となっている抵抗分子を警戒していた。
ブリエンヌは仕留め切れなかったナーガラ勢に未だイラついていて、とにもかくにもあそこは滅ぼすべしと譲らない。
国同士の戦争もあれば、帝国内は麻薬が流行っていて明らかに治安が不安定になってきていた。
上級国民がどこまで民草の安定した生活に公助をもたらすのか、ドゥティアスでは何を考えているか分からないとジャバが不満を漏らしたその時、今や父も殺して完全に犬になったシュタイゲンが不敬だと釘を刺しながら登場。
親殺しのクズ、人を人とも思わないクズ、なのに娼婦には時に甘い、そこに密告野郎まで加わりそうな外道。
もう一端の将軍で金色の蛇という二つ名まで手に入れたシュタイゲンだけが、ドゥティアスに今も次の準備中だと何かを知っている様子。
それは言わずもがな、天下布武である。

帝国側がずっとギスギスしている一方、アルクはレジスタンスリーダーのデイラ姫と密会し、作戦の話を進めていた。
またしても帝国に潜り込んでスパイ活動をする予定の中、もう一人、重要人物が陣容に加わろうとしていたのだが、それは帝国に謀反した居眠り将軍ジオだった。

見た目通りに戦でこそ真価が発揮されるジオは、チマチマした二人の作戦がお気に召さないらしく、戦いなら自分たちが出張ればいいと請け負う。
部下を伴って謀反し、自ら死地に赴こうとするその理由、それは先帝ギャリティヌスに真に忠誠を抱いていたからであり、次期帝王の皇太子とはいえ謀殺など受け入れられるはずもない。
帝国の人間にしては珍しく義を重んじる髭のおっさんこそ、誰よりドゥティアスを憎んでいるのかも知れなかった。

その怒りを目の当たりにしたアルクは改めて、アウレリアは生きているという言葉を信じたくなり、夜風に当たりに行った。
事実か否か、それを知るためにラティに調べに行ってもらった結果、いやらしい魔力が邪魔で100%とは言えないが、氷漬けの女性を発見し、アウレリアの可能性が高い情報を持ち帰ってもらえた。

それを救い出すにも帝国を滅ぼさなければならないのは必須、そのためにもレッタの戦力は必要不可欠の頼もしさなのだが、彼は生死がギリギリのトレーニングに励んでいて、作戦に組み込まない方がいいとラティはアドバイス。
代わりに竜の器となる新たな少年を仲間に引き入れるのが吉と、今回の最重要情報を伝えた。
約束の子、ラティも太鼓判を捺す少年の実力や如何に…

































