変な家7巻
津原少年が起こしたとされる一家惨殺事件。
その原因は住み心地の悪い間取りが大きく関係しているはずだと、その家に入って間取り図も持っている飯村は断言に近い形で言う。
少年の鬱屈は幼少期から溜まり始め、母と祖母の不仲の醸成も相まって闇に変色し、プライベート性のない使い勝手の悪い間取りで逃げ場がなくなっていく。

更に言いがかりにはなるが、この間取りと同じ家は中部地方を中心に全国に100軒以上ある、ヒクラハウスという建設会社が大量に作った建売ローコスト住宅だった。
ローコストに抑えるための工夫は買い手にもありがたいが、問題は住み心地の悪い間取りを採用したことで関わった者からの企業の評判はすこぶる悪いようだったが、メディア広告でそれらを打ち消していたと同時に、経営陣のヒクラ一族もまたメディアの被害者でもあった。
そして最後に、殺された順番を冷静に推察してみれば、果たして少年が3人とも殺したのかは、甚だ疑問が残った…

次のケースは林の中の水車小屋。
昭和初期の地方旅行の思い出話を寄せ集めた紀行文集、明眸逗留日記。
その中の一つ、とある財閥の一人娘の宇季が、叔父の家に滞在中に近所で見つけた水車小屋にまつわる不気味な話を掘り下げることにした。

数日続いた雨の後、林の中で水車小屋を見つけたのだが、不思議なことに川も溜池もなく役割を果たせない場所に建っていた。
水車の横にある格子窓から中を覗くと、精緻な腕時計のように無数の歯車が組み合わされている。
小屋の裏手には果物を持った女性の神様の像が置かれた小さな祠、出入り口の引き戸から中に入ると精緻な歯車のスペースは板壁で仕切られていて室内からは全く見えない。
水車を動力源に石臼を動かすような仕掛けがない代わりに、右壁に丸まれば女性位なら収まりそうな窪みがあった。
用途が判然としない謎の空間により、小屋は外観よりかなり狭かった。

外に出た宇季が泥濘に足を取られて思わず水車を動かしてしまうと、中の歯車が連動して動き始めた。
劈くような音が聞こえて再び小屋内を見てみると、謎の空間を仕切っていた壁が動いていた。

まるで乱歩の作品に出てくるような復讐するためのカラクリ部屋のような仕掛け、果たして見えるようになった謎の空間にはメスのシラサギが餓死しており、腐臭が解き放たれていた。
悪戯か巻き添えか、狭い暗闇で孤独に死んだ哀れなシラサギ。
宇季は叔父夫婦に水車小屋について訊く機会がなかったが、自分自身で推察して答えを出していた。
人一人が丸まって入れる窪みと神様像の位置関係、そこから考えた尤もらしい答えだった。
では死ぬまで閉じ込められ続けて放置されたメスのシラサギは何を示すのか、設計士栗原の仮説はまたの機会に…

次のケースはネズミ捕りの家。
昭和初期の件は別にして、前二軒の家はライバル関係にあった建設会社が建てた家。
ライターの彼女がインタビューすることになったのは、アプリ事業の会社を経営しているアラサー女性の早坂詩織で、彼女が中学生時代に起きたとある家での死亡事故についてだった。
中流の一般家庭育ちの彼女は、いわゆるお嬢様学校に通っており、親の経済力や立場を嵩に着た暗黙のスクールカーストによる差別を感じていた。

そんな中で唯一、早坂に友情を示したのがカースト上位でヒクラハウスの令嬢のミツコだった。
同じ少女漫画が好きで仲が深まり、お互いの家でのお泊りを提案され、躊躇しながらもその誘いを受けた。

一般的な家と、豪邸が想像できるお嬢様の家。
最初はミツコの家に泊まることになり、早坂は当日、ワクワクしながら向かったのを覚えているが、お屋敷と呼ぶに相応しい洋風邸宅に度肝を抜かれ、圧倒的な差に絶望感を覚えた。
ただ家の中でお泊りに誘われる程に仲良くなった友達と過ごす時間は本当に楽しかった。
後々、冷静になって振り返れば違和感に満ちた、あの事故が起きるまでは…

感想
変な家6巻7巻でした。
二部も面白いですし、100%文句のない家なんて建築家の自邸でもそうはいかないでしょうね。
とは言えヒクラハウスの大量建売住宅は間取り図だけで、建築素人でも使い勝手悪そうだとさすがに分かりますし、豪邸の怪しい事故はそもそもその部屋を使わせることに大矛盾が孕んでるのに、そこを指摘しないのもまた別の違和感でした。
































