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瀬里は怒り狂い、牧村に足をかけて押し倒した。

 

そして頭を打った彼女が悶えている内にズボンを下ろして、同じ辱めを味合わせてやろうとしたが、見た目に反して可愛いお子様パンツで、思った以上のダメージを与えることができた。

 

そこで千歌は仕方なく間に入って、姉妹を止めようとしたが、あっさりと瀬里に背後を取られて身動きできなくされてしまう。

 

そして姉は妹にやり返すよう命令して、彼女は謝りながら関係のない千歌に復讐の牙を剥く。

 

 

その時、騒ぎを聞きつけた西と吾妻が食堂に戻ってきた。

 

それは千歌にとって最悪のタイミングだった。

姉妹に担ぎ上げられて足を広げられた、とてつもなく恥ずかしい格好の瞬間だった。

 

 

主任もこの食堂での騒ぎをモニターしていて、威勢のいい姉妹を笑って見ていた。

 

そして、何事もなかったように彼女の隣に座っている新人は、このどこにでもいそうな姉妹があの「フェイスレス事件」の犯人だとは、到底思えなかった。

 

フェイスレス事件。

一昨年の春に、顔が判別できなくなるほど破壊された若い女性の死体が草むらから発見された。

凶器はスラッグ弾を用いた猟銃で、至近距離から発砲したことで顔が吹き飛ばされた惨たらしい有様だった。

 

着衣に乱れはなく、物を盗られた形跡もなかった。

それを皮切りに、関東一円で同じような死体が見つかるようになり、どれも10代から20代の若い女性ばかりだった。

 

やがて事件は資産家の令嬢姉妹の逮捕で解決したが、センセーショナルな事件に世間は震撼したものの、動機が明かされることはなかった。

 

 

現在の受刑者は10人。

キリよく割り切れる数になったことに、主任はいやらしい笑みを零した。

 

新人はその不穏な笑みに溜息を吐くが、彼女はろくでもないことを思いついたが、面白いのは保証できると答えた。

 

そして、まだ先日のシンデレラタイムの傷が癒えていない彼女たちに、再び実験台になってもらう準備を進め始めた。

 

 

三日後。

図書館で石川啄木をディスっていた千歌に、面会の呼び出しがかかった。

 

羽黒刑務所始まって以来の出来事らしく、呼びに来た吾妻の方がはしゃいでいた。

しかし、千歌本人は心当たりがなく、両親が来るとも思えなかった。

 

どんな人が来たのか吾妻に訊ねると、若くて眼鏡のイケメンだと言われ、すぐに顔が浮かんで走り出した。

 

予想通り、誰よりも慕う兄の道隆が来てくれたのだった。

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