15話
凜はまた夢を見た。
太っていた父は、死ぬ直前には頬がこけて見違えるように痩せていた。
父は最期に、お母さんを助けてあげるよう言い残してこの世を去った。
父の死後、遺族年金や生命保険の額を考えれば、特にあくせく働かなくてもやっていける余裕があった。
それでも日美子は、悲しみを紛らわせるためにパート勤めをするようになった。
どこでも募集しているようなスーパーのレジ係。
そこに買い物に来たのが、やっちゅんこと勝浦恭人だった。
高校で同級生だった二人は、久しぶりに再会した。
彼は日美子が既婚者で子供もいると知っていながら、昔話に花を咲かせる名目でその日のうちにお茶だと言って誘った。
そして夫が亡くなったと知るや、積極的にアプローチを開始した。
彼女も満更でもなく、偶然の再会にトキメキを感じてしまっていた。
勝浦は度々家を訪れるようになり、母は子供二人のことを後回しにするようになっていった。
食事はおざなりになり、夜になれば母のいやらしい声が響き、子供二人が彼に懐いていないことを分かりながら、二人はあっさりと結婚した。

凜が遺族年金が貰えなくなる事を心配すると、母は自分で稼げない奴が偉そうに言うんじゃないと、珍しく声を荒げた。
悪魔が我が家に入り込み、母がおかしくなり始めて間もなく、寝タバコが原因で火事を起こし、父が遺してくれた家を失ってしまった。
轟々と燃え盛る家から焼け出された凜たちを心配して、萌愛親子が様子を見に来てくれた。
そんな時でも悪魔は笑って、娘の友達親子にいやらしい笑みを向けた。

そこで目を覚ました凜。
部屋の中には、蜜が独自に調合したアロマオイルの香りが漂っていた。
凜は「復讐は悪いことだと思う?」と訊いた。
蜜は間髪いれず「いいえ」と答えた。
不当な使いを受けて反撃できない者の遺伝子はとうの昔に淘汰されている。
生き残った遺伝子を受け継ぐ私たちは、「復讐はいいものだと知っているはずよ」と言う。
そして蜜は、自分の過去を語り始めた。



































