バルス婦人
この復讐動画を完成させるには、主役の真城が必要不可欠だった。
だから彼は撮る以外に力のない自分の恐怖を押し殺し、彼女の盾になった。
幸い撃たれたのは肩の辺りで、痛みさえ我慢すれば撮影は十分可能だった。
この動画のルールで自分は殺せないはずだと彼が言うと、婦人も確かに引き金を引けなかった。
その隙に真城が距離を詰めて頭をかち割ろうとすると、彼女はするりと服を脱ぎ、身軽な身のこなしで再び距離を取った。
その姿はコルセットブラにガーターベルトの、中世ヨーロッパ風を気取った美女だった。

真城は確実に撃たれたダメージで動きが鈍くなっていた。
婦人は素早く他の武器を取りだした。それは自動で釘を打ち出すネイルガンだった。
容赦なく連発してくる釘の雨になかなか近づけず、避けるのに必死でボロボロのゲス川を盾にして時間を稼ごうとしたが、婦人は躊躇わずにゲス川を撃ち殺した。
しかし真城はそのままゲス川を盾にしながら近づいて一撃お見舞いしたがそれほどダメージを与えられず、逆に銃創に指を突っ込まれてしまう。
だが町谷の応援の声で一瞬力が漲り、腰の入った一発でダウンさせることができた。
しかし、直後に自分も足から力が抜けてしまい、その隙に逃げられてしまうのだった。
ジョージは一部始終をモニターしながら、興奮に打ち震えていた。
その興奮でカチカチに勃起したものを静めてもらおうと、美人秘書に咥えさせ、あえて歯を立てさせて恍惚の表情で腰を動かしていた。
真城と町谷はガムテープで止血をして、婦人を探しに校内を進んでいた。
すると、全裸で亀甲縛りと目隠しをされた女子生徒が廊下の真ん中に放置されていて、へたり込んでいるその子の周りに漏らしたお小水の水溜りができているのを見つけた。

取りあえず助けてあげようとして縄を解き始めた直後、どこからか飛んできた銃弾がその子の肩を吹き飛ばした。
今度はネイルガンではなく、本物のマシンガンか何かのようだった。
二人はすぐに曲がり角の後ろに身を隠し様子を窺っていると、婦人が取引を持ちかけてきた。
まだ何人かの女子生徒を人質に捕らえているらしく、その中には亀甲縛りの妹もいて、亀甲縛りも助けてくださいと懇願してくる。
しかし婦人の出した条件は人質と真城の交換だったので、町谷はすぐに断った。
真城を死なせるわけにはいかないが、そもそも婦人が約束を守るとは微塵も信じていなかったのだ。
同じ変態の彼から見れば、自分の美を誇るにこやかな笑顔の裏にある歪な素顔が透けて見えるようで、人質も確実に殺すと分かっていた。
そう指摘すると、婦人はあっさりそれを認めて亀甲縛り姉妹を撃ち殺し本当の笑顔を見せた。

婦人の強さと卑怯さは十分に分かったので、町谷は真城と心中する覚悟で作戦を立てた。
教室のドアを外して盾にしながら近づく。
確実に距離を詰めながら、真城は他の人質に語りかける。
姉妹のようにどっちみち殺される運命にあるのなら、最後まで足掻けるだけ足掻いてくれれば、確実に私がそいつを殺してあげると煽った。
そしてドアを盾にしたまま勢いよく走り出した直後、それに合わせたように人質の女子生徒二人は音のする婦人の方へがむしゃらに体当たりをして邪魔をした。
結局すぐに撃ち殺されてしまったが、その間に真城はすぐそばまで近づけていた。
だがギリギリ婦人の銃が火を吹く方が早く、ドアはバラバラに破壊されてしまった。
しかし真城は止まらなかった。
なぜなら、ドアを持って前衛を務めていたのは町谷で、真城は悠々と後ろをついてきていただけだった。
ドアが破壊された瞬間に町谷は進路を譲り、真城は顔面にフルスイングを叩きこんだ。

それでもしぶとく婦人は撃ち返し、足を撃たれて動きを止められついに万事休す。
その直後、金子が後ろから婦人の腹を日本刀で貫いた。
なおも倒れない婦人は振り返って金子に何発も撃ち込んだが、腹に刺さったままの刀を真城が斬り上げ、やっと婦人の息の根を止めたのだった。
花菜の仇を取った金子は、満足したようだったが、ついぞ花菜に想いを打ち明けられずに息を引き取った。
プロデッドチューバーは全員始末した。
残すは、全てを仕組んだジョージだけだ。



































