35話
テーブルにでーんと積まれた1500万円分の札束。
それを挟んで向かい合うのは涙を流している女性と、一人の男。
女性は冤罪で死刑が執行され、この世を去った夫の無念を嘆いて泣いている。
その無念を晴らすために必死で真犯人を探し出して見つけたが、警察に取り返しのつかない冤罪を掘り起こすほどの正義はなかった。
そして女性が頼ったのが目の前にいる男だった。
彼は法が裁いてくれない悪人を依頼によって裁く、独善裁判官の亡々死と言った。
著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2017年24号
亡々死は姫蘭に観察されていることなど知る由もなく、今の状況を整理し始めた。
姫蘭のイベントが終わった時点の鬼は麗奈とルセット。
残り一人は、おそらく唯一参加しなかったショーコか途中で抜けたフグドク。
現時点で麗奈の鬼がそのままだとして、死んだルセットの鬼が誰に移されたのか知るすべはない。
つまり、ルセットから誰に移ったのか分からないのが増えただけで、何も分からないのと一緒だった。
著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2017年24号
とにかく誰も信用するべきではないと思い、独り言を激しく捲し立てている亡々死を見ていた姫蘭は、ここで隙を待つ時間がないのと、チェンジで大量に所持金を減らすのは得策ではないと考え、思い切って姿を見せた。
当然亡々死は慌てふためきながらも警戒を緩めず、ギャーギャーと喚き散らすその内容が、ほぼ姫蘭の企みと一致していた。
しかし姫蘭は化けの皮を被り直して近づき、猫なで声でまた組みたい旨を申し出た。
著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2017年24号
もちろん亡々死がそれを受け入れるはずがないのを見越した上での作戦だった。
人を蹴落として生き残ろうとしたのは、病気の母親がいてどうしても手術代を手に入れて現世に戻らなければならなかったんだと、殊勝な態度に切り替えた。
まさに一世一代の演技で女優顔負けの涙を流し、地面に頭を擦り付けた。
著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2017年24号
一度は手を繋いでおきながら、ルセットの説得に心が揺れ、人を騙すことを良しとしなかった亡々死に対しては、情に訴えた方が扱いやすいと考えた末の作戦だった。
もちろん母親は病気などではなく、下を向いた顔に、性根の悪さをこれでもかと表していた。
著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2017年24号

































