163話
わざわざ書類を届けるためだけに京都に行くのをゆずから託された小春。
新幹線に乗り込んだところで一応龍にもメッセージを送ると、ちゃんと返事が返ってきた。
ただ、何かのフラグなのか珍しくスタンプの返信で、そのキャラが妙に龍っぽさもあって、なんとも言えない苛立ちを募らせた。

結局ゆずにはすべて見透かされていて、気を利かされたのだった。
封筒一つにわざわざ京都まで出向かせるのに小春は大袈裟だと躊躇したが、デリバリー嫁サービスとかいう、デリヘルみたいにサービス精神を説かれていた。
ついでに1週間でしっちゃかめっちゃかになっているであろうホテルの部屋のお片づけでもしつつ、性欲の処理もしてあげなさいと、嫁らしさを語るゆず。

しかし、そんな理由ならゆずの方が適任だと小春は言い返した。
もちろんゆずの真意は、家族として夫婦としていつまでもわだかまりを残している小春と龍を仲直りさせることにあり、彼の浮気を疑い続けている様子の小春に、正直な気持ちを話させる機会を与えようとしていたのだ。

そうまでいわれたら、小春に断る権利はなかった。
と言うことで京都行きを決意したその時、天使である麟之助が夏の風物詩を家の中に放ち、重苦しい空気を消し飛ばしてくれた。
そして車中の小春は、彼が誰と会うのを楽しみにしていたのか気になりながら、妊娠しにくい身体なのを含め、相談すべき内容を整理しようとしていた。

京都到着。
ケンカになったっていいと微笑んでいたゆずの顔を思い浮かべつつ、彼が泊まっているホテルへ。
しかし、いざ部屋の前までくると色々嫌な想像が頭を巡り出す。
忙しさでイライラしている彼に冷たい態度を取られて拒絶されたり、やっぱりどこかで知り合ったナイスバディの女とよろしく腰を振っている最中だったりしたら、殺すしかないと覚悟を決めようとしていた。

その時、小春がノックするより前に龍がドアを開けて顔を見せたが、とてつもなく酷い顔色だった。
それに少し驚いたが、甲斐甲斐しい嫁らしく「来ちゃった」と挨拶する小春。

それが思いの外可愛かったのか、それとも小春が来ると知ったときから予定していたのか、部屋に入るなり顔を近づけて、会っていきなりパターンで始めようとする龍。




































