5話
公民館に逆戻りし、賢也はベッドに寝かされ応急処置を受けた。
銀太は祖父と合流し、再び猿を殲滅すべく外に出て行った。
公民館に残っていた村人は実際に寺に安置された死体を目の当たりにしていて、本当に人を簡単に殺す猿がいると実感し、恐怖のどん底に落ちていた。
ミチルは怯える子供たちを励ませるほど正気を取り戻していたが、いつ死体を見てもおかしくないこの状況で目を離すのは危険だった。

暗いムードに気が滅入った庵が建物の外に出てどうすればいいか考えていると、茂みの中から女の激しい喘ぎ声が聞こえて来た。
立ち止まる間もなく視界に飛び込んできたのは、獣のように腰をぶつけ合うカップルだった。

薬でもやっているのか、明らかに精神がおかしくなっているようだった。
庵はむしろ歓迎されて戸惑っていると、少女が手を引きその場から離れさせてくれた。
その少女は、青姦カップルの娘だと名乗った。
ほぼ毎日薬をキメてヤッているところを見てる少女は鶴岡裂で、二人の本当の娘じゃないんだと答えたが、自分を守ろうとして本能的にそう思っているのか、養子なのかは分からなかった。

そして庵と自分は似ているとも言い、今夜にもまだまだ死人が出ると予言した。

公民館に戻り、裂が何者なのか、予言に信憑性はあるのか考えていると、老人二人がいきなり庵のことを鬼子だと叫び、村に災厄をもたらしたのだと捲し立てた。
そう言える根拠を、12年前から心に秘めていたようだった。
庵が磨白山で行方不明になり、髪が真っ白になった状態で発見された後、老人二人は発見された洞窟の近くで、惨たらしく殺された動物たちの死骸を見つけていた。
当時の日の前後に、庵以外、山に入った人間はいないことから、彼がやったとしか考えられない悪魔の所業だったのだ。
猿に襲われても一人だけ無傷でい続けている現状も禍し、他の村人たちも庵を気味悪がり始めて全ての責任を押し付け、「出て行け、殺せ」と声を合わせていく。

タツヤとミチルにも止められない負の感情の増殖は、大きな衝撃音と共に電気が消えたことで治まった。
無為な争いをしている間に、公民館は猿の群れに取り囲まれ襲撃されようとしていた。



































