46話
鬼ごっこは終了した。
絶望に暮れた亡々死は泣き叫び、こんなことになってしまった結末を嘆いた。
しかし、終了を告げる悪魔の黒い天使は背後に浮かんでいる。
亡々死がこんな結末にした理由を訊いたのは、自分の鬼をチェンジで肩代わりしてくれた沙羅に対してだった。

鬼のままゲームが終了したというのに、微笑みを湛えている沙羅。
ユキと亡々死が一緒にいるところに遭遇した時、嫌な予感がして様子を窺っていたのだという。
案の定、嫌な予感は当たり、ユキは終了直前で亡々死を裏切った。
沙羅はユキに疑いを持ちながらも問い詰めなかったことに責任を感じていた。

だが、亡々死はそれだけで命を捨てて助けられたことに納得できなかった。
一度沙羅のゲームを止める目的のために相談を持ちかけられても耳を貸さなかった自分の代わりに死ぬ意味が分からない。
沙羅が他人の為に死ぬ決意をしたのは、ゲームを止めることを諦めようとした自分に空しさを感じたからだった。
ゲームを止めるのは容易ではなく、この先も誰かを蹴落としながら機会を窺うのは避けられない。
それに耐え切れないと思った沙羅は、死に逃げた。

亡々死は沙羅が死ぬ原因をユキに求め、憎しみを募らせた。
ユキが裏切りのクズキャラで、沙羅は正義の主人公キャラ。
漫画家らしく、最低な展開に涙し怒りを滲ませる。
しかし沙羅は他人のために怒れる亡々死の感性に感謝し、それでもユキは悪意の人ではなく、大切な者を守る為に行動しているだけだから恨まないで欲しいと頼んだ。
そんな風に言われては、沙羅とユキが現世で知り合いで、ユキの正体に気づいていると言っているようなものだった。
命の恩人の願いでも亡々死のユキへの怒りは治まらず、また激しく怒って怒りを爆発させた。
名を明かして、残酷な死を与えなければならない。

そうしなければ自分の心も沙羅の魂も救われず、頼むからユキの本当の名を教えて欲しいと泣き叫んで懇願する亡々死。
しかし、沙羅は自分が知っているユキへの想いを変えず、亡々死の腹に一発きめてからさよならを伝えた。

りんのおかげで命拾いした麗奈は、ルセットのリボンを握り、感謝していた。
最後に笑顔を見せてくれたりんを思い出すと悲しみに襲われてしまうが、二人のためにも現世に戻る決意を改めて強くした。
頭を抱えたまま終了を迎えたユキは、自分の弱さに打ちひしがれていた。
妹のために全てを捨てる決意をしても力及ばず、勝手知ったる学校の光景が崩れ去ってゆくのも、着ていた体操服から今までの衣装に一瞬で変わったのも気にする余裕がなかった。
ユキがどうゲームの終了を迎えたのか観察していたクロエルは誰の結末にも干渉せず、フィールド内の方々に散っている参加者全員に誰が鬼のまま終了を迎えたのか発表し始めた。
まず、クロエルに両腕を爆破され、なすすべがなくなった姫欄。
次に、亡々死を助けることでゲームから死という形に逃げた沙羅。
最後の3人目は、ユキではなく常に頬を染めて女の子とイチャつこうとしていたカエデだった。

カウントダウンが始まり、一縷の望みにかけてユキが走り出した直後、姿の見えないカエデにチェンジされて鬼を肩代わりしてもらっていたのだ。
カエデから何も理由を訊けないままカウントダウンが0を告げた時、感じたのは喜びよりも訳が分からず守られた無能感だった。
なぜ鬼を入れ替えたのか?
チェンジしたのはカエデの意思なのか?
そうなら、カエデはユキを助けるほどの理由を持つ深い関係の誰かなのか?
何も分からず戸惑い続けるユキと同じく、なぜりんが鬼じゃなくなっているのか分からない麗奈は、恥ずかしさと驚きに襲われていた。
全員が一堂に会した鬼ごっこ終了後の処刑タイム。
クロエルはさも可笑しそうに笑みを零しながら、天高々と手を上げて執行人登場の掛け声を出した。
雷鳴轟く天から舞い降りて来たのは、クロエルと対を成す白い衣装を纏った同じくヤバそうな天使、シロエルだった。

感想
たとえ灰になっても6巻44話45話46話でした。
作者の鬼八頭かかしさんが病気のため、同作品の結末まで描き切れずに亡くなられてしまいました。
可愛らしいキャラとは裏腹に、勝利には強いメンタルが要求されるグロくて残酷なデスゲームの掛け合わせがかなりおもしろかったです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/48590
































