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49話

姫蘭は思い出す。

 

一年に及ぶリハビリとトレーニング。

それよりも、ステージから遠ざかる焦燥感が辛かった。

 

そしてやっと復帰できたと思えば、事務所は自分に代わってアイドルグループを軌道に乗せていて、もう以前のような順風満帆な道は残されていなかった。

 

マネージャー大倉のデリカシーのない口調に殊更苛立ち、それがアイドル人生の終わりを加速させた

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

待っててくれたファンはいた。

 

しかしキモオタ共は圧倒的な音楽的才能もそうだが、常に余裕な態度でパフォーマンスしていた姫蘭のオーラに魅力を感じていて、余裕がなくなった姫蘭からファンが離れていくのにそう時間はかからなかった。

 

 

 

そしてシロエルのお仕置きを食らわされた姫蘭は、鼻から下の顔面前面が吹き飛ばされ、今までの比ではない激痛に訳の分からない絶叫をあげて倒れた

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

まだ死んではいなかったが、アイドルの命である顔を失い、最も自信のあった歌も歌えなくなり、一足早くアイドルとして死んだ

 

倒れたせいで口周りから溢れ出る血が喉を塞いでいく。

窒息死か失血死か外傷性ショック死か、どれで死んでもおかしくない状況

 

そうは言っても、満身創痍の姫蘭は起き上がることすらできず、あまりに酷い人生の最期を目の前にして、自ら半生を振り返った。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

 

高校在学中にアイドルとして終わった姫蘭は卒業と同時にコネを使って物流会社の事務に潜り込んだが、地味過ぎる仕事に遣り甲斐など持てるはずもなく、不満だらけの毎日を送っていた。

 

まだ若い社長は人を苛立たせる天才で、社員のことなど使い捨てカイロ程度にしか考えていなさそうなクズだった。

 

他の社員が怒鳴られるところもよく目にし、その姿がアイドル復帰後の自分と重なって見え、余計に嫌悪感を抱く原因になっていた。

 

 

ストレスばかりが溜まる社会人生活は向いてないことを嫌と言うほど実感した日は、公園のブランコで揺れて、アイドルへの未練を言葉にする。

 

しかし、もう誰も歌を聞いてくれる人がいないのも分かっているから、誰のためでもなく夜空に向かって歌を奏でた

 

自然とブランコから立ち上がり、感情を込めていくと瞼が自然と落ちてくる。

そして最後に「たとえ灰になっても」と歌い上げた直後、大嫌いでしょうがない社長に聴かれていたことに気づいた。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

帰り道らしい社長は偶然歌声が聞こえ、導かれてやって来たようだ。

 

普段から暴言の嵐の社長に聴かれたとあっては、必ずバカにされると思い、羞恥心でみるみる顔を赤くしていく。

 

しかし姫蘭の予想とは違い、社長はバカにしてこず、凄く透き通っていい歌声だった、心が洗われた気がしたとまで言い、褒めに褒めたのだ。

 

まさか一番そんなことを言いそうにない社長に一番言ってほしい言葉を言われ、姫蘭のクサクサした心こそ洗われていった。

 

強気過ぎる性格のせいで素直に感謝の言葉が出てこないが、心は嬉しさで満たされ、自然と涙がせり上がって抑えられなくなる。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

すぐ近くにいた自分の歌を聞いてくれる人物に会えて姫蘭は衝動のままに社長に抱きつき、今まで我慢してきた感情を爆発させて号泣した。

 

 

その夜がきっかけで二人はそういう関係になり、あれよあれよという間に結婚まで至った。

 

あれだけ嫌っていた相手と子供まで儲け、アイドルとは程遠い平凡な妻であり母の生活に居心地の良さを感じるようになっていた。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

しかし、平凡で幸せな生活は10年程で終わりが見え始めた

 

 

社長の双子の兄が妻を殺害して逃亡し、世間を震撼させた

 

物流会社から取引先が次々と撤退し、社長はまた常にイライラして怒鳴り声を上げるようになった。

 

 

そうして会社が傾き始めたと同時に兄の子供二人を引き取ることになったのだが、姫蘭は兄妹のうちの兄の方に、妙に不吉な何かを感じた。

 

夫の兄の子供などに愛情など感じられず、名前さえ覚えていないが、その兄妹にも社長が暴力を振るうようになり、またクズの本性を見せ始めた夫への愛情も薄れていった

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

数年後には実家に入り浸って別居状態となったが、経済的な理由で離婚には踏み切れないでいた。

 

 

さて、これからの人生をどうしようか真剣に考え始めたその時、偶然路上ライブをしているレベルの低いアイドルグループを見かけた。

 

それに優越感を感じた直後、当時のマネージャーだった大倉がまだマネージャーをしているのも目撃した。

 

自分の惨めな生活とは逆に、まだ芸能界に絡んだ仕事をしている大倉を逆恨みしたが、はたと思いつく。

 

もう40歳になった自分にアイドルは無理だが、マネージャーとして育てたアイドルを芸能界のトップに君臨させることならまだまだ可能だと。

 

 

そう考えるとすぐに大倉に近づき、大倉を巻き込んで事務所社長の痛いところを突いて脅し、難なくマネージャー職を手に入れたのだった。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

初めてあてがわれたのは、デビュー前の中満智子という少女だった。

 

 

さっそく歌を聴いてみると、大してしていなかった期待を遥かに上回る歌唱力で、それだけじゃなく、歌の全てが当時の自分にそっくりで度肝を抜かれてしまう。

 

この出会いは運命としか思えなかった。

 

ただ、アイドルネームだけが雅ハナ子とかいう、受けを狙ったのかどうかも微妙な冴えない名前だったのですぐに改名させた。

諦めた夢を託して、姫蘭に。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年19号

 

 

感想

たとえ灰になっても6巻47話48話49話でした。

牛の蒸し焼きの刑に比べれば何でもマシに思えてましたが、これもなかなかエグイことになりそうな気配がしますね。

お腹くちゅくちゅは、ちょっと快感がありそうです。

実際にあった処刑法を模しているみたいなので、カエデと沙羅には何が用意されているのか早くも気になってきました。

https://www.kuroneko0920.com/archives/50639