その住所には、豪邸といって差し支えない民家があった。
彼女のアパートから徒歩圏内のそこは、彼女も新築の物件だと知っていた。
真実が待っている怖さに、今度は豪邸を訪ねる緊張感まで合わさり、変な汗がインターホンを押そうとする指に滲んでいく。
その時、表札の名前が四宮だと気づいた。
なぜ自分と同じ名字なのか?
両親が亡くなってからこれまで、親戚にロクな奴はいなかったし、こんな家に住める大金持ちがいるなど聞いたことがなかった。

つまりサタンの詫びとは、ベリアルの代わりに住まいの心配をせずに済むよう、こんな豪華な物件を用意してくれたのかも知れない。
しかし、この家を返せばベリアルが戻ってくるなら、すぐに返したいと思った。
その時、玄関の方から彼女の名を呼ぶ声がした。
そこにいたのは、以前と変わらぬ姿のベリアルだった。

ベリアルまでちょっと待ち合わせに遅れただけかのように、一年も音沙汰なかったことを謝った。
彼女は一年ぶりに見た彼の微笑みにみるみる涙がこみ上げ、喉から嗚咽まで込みあがってくる前に胸に飛び込んだ。

一年の放置は長すぎなのを詰った。
その間に一人で経験したのは、一生に一度しかない成人式に、結婚してから最初のお正月に誕生日・・・
心配し続けなければならなかった恐怖と、それらを一人で過ごした寂しさを少ない言葉でぶつけると、ベリアルは眉を僅かに寄せて謝った。

ただ今日は、日本では恋人同士が一年で一番熱く愛し合うクリスマスイブ。
それには間に合ったことをベリアルは伝えて慰め、これからはずっと一緒だと伝えながら涙に濡れた頬に触れて愛を伝え、もう一度長く心配させたことを謝った。
彼女は彼の温もりにようやく安堵し、胸に顔を埋めた。

彼女はベリアルがちゃんと生きていることに安堵はしたが、一年も待たせたことからまだ身体が心配だった。
するとベリアルはさっそく軽くキスをしながら、抱けるくらいには回復しているとかつての調子でいやらしさを見せてくる。
彼女は久しぶりのキスにそれはそれで嬉しさを感じたが、一年も待たせた挙句にいきなりいやらしく茶化してくることが信じられずに声を荒げて怒り、より大きな声で泣いてやった。

さすがのベリアルも近所の目を気にして慌てて宥め、新居に意識を向かわせて高ぶった感情を抑えさせた。
この豪邸こそ、新婚生活を始める二人の愛の巣だった。



































