傘を拾い、二つの傘の間で濡れるのも構わず手を繋ぎながら家に帰った。
姉らしく先のお風呂を譲った千夜に甘え、夕が湯船に入った直後、停電で家中の電気が消えてしまった。
それを何者かの仕業だと思った千夜は瞬時に元の姿になり、物騒なことをし始めようとする。
だが電気が止まっただけだと分かるとすぐに落ち着き、いつもの優しくエロい姉に戻り、そのまま一緒に入ろうとした。

夕は恥ずかしかったが、暗くてよく見えないのは確かで、それに耳元で甘く誘われては断れなかった。
まず夕が千夜の髪を洗ってあげた。
指の間をすり抜けて行く滑らかで重い髪はそれだけで美しく、暗い中で薄っすらと浮かび上がる白い背中が艶かしい。
次は夕が洗われる番だった。
髪や頭皮を優しく刺激してくる指は十本だが、同時に首や耳をうねうねと何かが這い回り、信じられないくらいの快感を感じさせてくれる。
触手のマッサージを受けた夕は、自然とアヘ顔を晒していた。

しかし一番気持ちいいところで全てを洗い流され、夕は少し千夜を恨めしく思った。
そして、膝を突き合わせて湯船へ。
いつの間にか雨が止んでいて、窓の隙間から蛍が飛び込んで来た。
儚い命だからこそ懸命に光って見つけてもらおうとするのかも知れない蛍。
人間も蛍と同じく儚い命だと思っていると、以前指摘されたことを千夜は思い出した。
それを今も否定できはしなかったが、夕を見つけられたことに満足していた。

夏の夜の雨にとてつもない不安を感じた千夜だったが、料理を頑張ろうという気持ちは持ち続けていた。
夕が出かけている間に戸棚の中を漁ってあるものを探していたのだが、その時、あるモノを見つけて目を輝かせた。

夕も夕で千夜のためにたくさん本を借りて帰ろうとしていた。
読み聞かせてくれるときの、いつもより低い落ち着いた声を楽しみにしながら家に着くと、邪神の姿で顔を赤らめた千夜が飛び出して来た。

廊下には飲みかけの酒瓶が転がっていた。
料理酒を探していた千夜は、好奇心に負けてグイグイ飲んでしまったようだった。
夕は神と呼ばれる存在でも酔うことに驚いたが、千夜の酔い方は、泣き上戸から始まり、夕への愛や寂しさを捲し立てる、可愛くも厄介なものだった。
ほんの少し夕と離れただけでも夕欠乏症に陥っていたらしい千夜は甘えて欲しいし甘えたいと暴露しながら、いつもの姉に戻って弟の膝に飛び込んで頬をスリスリした。

夕はおねだりに屈し、頭をなでなで髪をさわさわ頬をむにむに撫でてあげた。
猫のようにごろごろと擦り寄る千夜はご満悦になり、ついに「好き」という言葉をおねだりして、蟲惑的な胸を押し付けてきた。

しかし、夕が恥ずかしさを押し殺して伝えきる前に、酔い潰れて寝てしまうのだった。
そして、酔いが醒めた千夜は・・・



































