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椿がいう下手人とは、唯一、耳を奪われながらも生きている髪結いの野菊だった。

 

篝がいう耳失し芳一の候補が何人もいないことから、なぜか殺されなかった野菊であると考えたのだ。

 

 

野菊は耳の辺りから血を滲ませ、まだ痛々しい姿を保っていた。

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

そして椿はまた自信満々に、血が滲む野菊の耳があった場所を指差して、悦の耳を返して欲しいと頼んだ。

 

鳳仙は椿がおかしくなったかと思ったが、野菊は耳があることを否定せず、譲れないと言い返した。

 

 

他の3人は惨たらしく殺されてから、耳を奪われている。

 

野菊だけが耳を奪われた以外の傷を負わず、生きているのはあまりに不自然だが、誰も重傷を負った野菊に疑いの目を向けることはなかった。

 

だが奪って気に入らず捨て、また奪って気に入らず捨てを繰り返した野菊の理屈が、椿には分かっていた。

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

男は目で惚れ、女は耳で惚れ

 

椿が漏らしたその言葉に、野菊は瑠璃丸との愛欲の日々を思い出した。

 

 

髪結いの客として訪れた瑠璃丸は、すぐに野菊にも手を出し、彼女も色男で有名な彼の手練手管に骨抜きにされて快楽を貪ろうとした。

 

ただ、瑠璃丸も野菊の左耳の辺りにあるアザが気になってしまった。

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

耳のアザのせいで、両親のように瑠璃丸も自分の前から消えると思った野菊は、彼が躊躇いなく舐める綺麗な耳を持った女たちが憎くなった。

だから奪って自分の耳にしようと企み、次々と殺していったのだった。

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

 

野菊がさらしを取ると、悦の耳がそこにあった。

 

しかし、他人の死肉は野菊にはくっつかず、無残に落ちた

 

たちまち立ち込める腐臭は、乾いて腐り始めている悦の耳だけのものでないのが明かだった。

 

 

椿は鳳仙に悲しい女の最期を見せないよう、男を惑わす胸に顔を埋めさせ、視界を塞いだ。

 

鳳仙がいきなりの抱擁に驚いている間に、野菊は顔の左側から蛆をぽとぽと落とし、あっという間に腐り落ちていくのだった

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

 

後味の悪い結末を肴に、蕎麦と酒でちびちびとやるのはいいが、目的は取り戻した耳を親元に届けて無念をできるだけ晴らしてあげること。

 

そう思い出したその時、暖簾をはためかせたがふわりと入って来て、耳を取り戻したお礼を言った。

 

しかし鳳仙は突然の幽霊にも怯えず、自分らしくない粋な言葉で送り出し、幸せな女でいさせたままあの世に送り出したのだった。

著者名:川下寛次 引用元:当て屋の椿1巻

 

 

鳳仙は女の情念が渦巻いた今回の事件で、女が少し可愛いと思えるようになった。

 

 

感想

当て屋の椿1巻でした。
面白度☆8 エログロ度☆9

エロから始まり、すぐにグロが入り、ミステリーとヒューマンドラマで締める展開はかなりおもしろかったです。

1巻では他に、神社で寺子屋をしながら頑張っている飼い犬を家族のように思う女の可哀相な話や、鳳仙や椿が住む長屋のある日の出来事などが収録されています。

当て屋の椿を読むならこちら

https://www.kuroneko0920.com/archives/54079