3話
中途半端によしのの身体をまさぐって興奮したベリアルは宿に帰ってもまた治まらず、手っ取り早く近場で一夜の相手を探している女をアプリから見繕った。
見栄っ張りな京女は、奥ゆかしさも身に纏う。
それが多くに当てはまっているかはさておき、選んだ相手はベリアルのピストンにはしたなく喘ぎ声を漏らして愛液との擦過音を響かせた。

よしの…
彼女へしたい思いに駆られながら、その欲望を他の女にぶつけてひたすらに腰を振り、さっきの湯で火照っていた肌と吸い付くような感触を思い出す。
目の前の性に奔放な女を彼女に見立て、何度もよしのと呼びながら果てた。
熱くたぎる想いだけがひとりでに歩くと、その他大勢でしかない女相手の唇にも吸い付きたくなる。
しかし、ベリアルは無駄にキスだけは許さない変に潔癖な考えで、唇を重ねようとはしなかった。

こうして男を漁っている女もまた、男でもキスしようとしない相手にはそれなりに出会っていた。
その理由が別になんでもいい女はすぐに話題を変え、ベリアルが自分の客を作ろうとしているホストだと思い込み、パワフルなセック〇が気に入ったから、あえて店について行ってもいいと言い出した。
それも、ベリアルが書かせた契約書が仕事の一環か何かだと思ったが故。
一回突き入れればもう後は魂をいただくだけだったベリアルは本性を現し、二度目はないと宣告した。
美形男が異形に変わっていく様を目の当たりにした女は、現実を理解する前に悲鳴を上げた。

散策するには辛い夏真っ盛りの今、よしのたちは奈良にいた。
今からの自由時間をどう回ろうかと思案している中、彼女は昨夜の温泉の美女の顔がどうしても思い出せず、眉間に皺を寄せて記憶を掘り返そうとしていた。
すると、偶然を装って男子グループが声をかけてきた。
一般的な感覚で見ればイケメン揃いで、今時の女子高生はロマンスの予感がして頬を赤らめるが、よしのと真弓は何のトキメキも感じられない相手だった。

メンズは予定通りに彼女たちを誘い、よしのと真弓はあからさまに拒否反応を示すが、他の女子は彼らの中に狙っている男子もいたし、シンプルにイケメンが好きなので二人を無理やり頷かせた。
声をかけてきた本田という男子からいやらしい視線を送られていることに気づいているよしのは仕方なく、友達の恋を応援する方を優先した。
そしてそのありがちな青春の一幕を監視していたベリアルは殺意を露わにし、本田を呪詛の眼差しで睨みつけていた。
まずは定番の東大寺。
見上げるほどの大きな大仏に彼女が感動していると、じっとり狙いをつけていた本田がスッと横に近寄り、大仏の豆知識を披露しながらさりげないつもりで彼女を見下ろし、突き出た胸を舐め回すように眺めた。
そのヤリたいだけなのが透けて見える視線に気づている彼女が戸惑っていると、彼女と小・中一緒だった男子が本田に忠告した。
もちろんゲスいとは言え友達の性欲だけの恋を邪魔したいからではなく、かつて彼女にアプローチしてきた男子が軒並み悪夢にうなされ、それでもしつこくアタックし続けた結果、事故や怪我の災難に見舞われていることを明かした。
悪夢に悪魔が出てくるらしいことから、悪魔憑きと噂されていた彼女。
そんな迷信紛いの話を信用しなかった本田だが、その隙に真弓が彼女を連れ出し、ゲスな視線から遠ざけた。
だが本田は全くめげず、散策している間をずっと彼女の傍にはりつき、京都に移動してからもしつこく付きまとい続けた。
そして、清水寺近くの三年坂でついに、適当な理由で彼女の髪に触れるという言い訳のできないセクハラを決行した。
ベリアルの怒りと嫉妬の限界が越え、本田がまためんどくさい三年坂の蘊蓄を披露し始めた直後、通行人と肩がぶつかり、彼に災難が降りかかった。

あっけなく階段を転げ落ちた本田は、犯した罪にしては重い骨折をした。
忠告した男子は呪いが発動した瞬間を目撃したことにより、彼女への恐怖が確定してパニックに陥るのだった。
自由時間はなんとも言えない感じで終わり、宿に戻って夕食に舌鼓を打った彼女たちはすき焼きに入れる具材について一しきり盛り上がり、三年坂で落ちて骨折したバカな受験生を皮肉り、いきなり髪を触られた彼女を慰めた。
彼女は舐め回すような視線と女なら誰でも良さそうな雰囲気をこき下ろすが、今時の女子高生たちは、大体の男はそういうものだろうと思っていた。
それは、彼女にとってショックなことだった。

だったらベリアルも。
それはそうだと知ってもいたし、友達に慰められもしたが、やはり無闇に信じたくないものだった。
一人のカップルが誕生した夜更け、彼女は部屋を抜け出してべりアルに電話をかけた。
帰る前からお土産に何を買ったのかで切り出してから、ベリアルも女なら誰とでもキスできるのかを訊ねた。
一部始終を見てどうしてその質問をしてきたのかおおよその予想がついたベリアルは、恥ずかしがって切ろうとするのを止めるために、必要ならば老若男女問わず寝るときっぱり言い切った。
それでも、やりたくない事や嫌な相手はいるとも答えた。
そして彼女の声だけで男根がいきり勃ってカウパーが漏れ出てきたと冗談めかしてから、会いたいがそれは言わず、会いに行こうか?と委ねた。
それで心が浮き立った彼女は断ることができた。
自分が凹んでいることを察して、それとなく慰めてくれているのが理解できてしまう。
明日が楽しい日になることも保証してくれた。
その優しさに甘え、帰ったら抱っこして欲しいとねだった。

ベリアルのささくれだった心も瞬時に愛しさに包まれ、彼女が帰ってくるのがより楽しみになっておやすみなさいと告げた。
あの事故現場を通らないように誘導することはできた。
しかし、ベリアルが危険視する神がいる神社からはどうしても遠ざけられず、ベリアルの心配は消えなかったが、何があっても守る覚悟はできていた。
感想
この愛は、異端ベリアル文書1話2話3話でした。
エロに特化した新雑誌で第2部が始まりましたが、これからも過去話が続くのか気になりますね。
2話目は修学旅行でベリアルが女に化けてそっとよしのを窺っていたエピソードで、3話目は修学旅行のクライマックス前といった感じでした。
https://www.kuroneko0920.com/archives/61136

































