尼寺に潜む怪物
とある尼寺。
紫苑という黒髪の艶やかな女と、乳首を舐められて喘いでいる笹百合という女がいた。
柔肌を絡め合って熱い吐息を吐き出していた二人の傍には般若の面がかけられていて、片眼から涙が流れていた。
鳳仙は今日も又、遊女が男に跨って激しく喘いでいる様子を見ながら筆を走らせていた。

ただ、女が大きく喘ぐたび揺れ、筆はさ迷い、うまく描けない。
おまけに舟の揺れと寒風に晒されたせいか体調が悪くなり、頭を抱えながら小休止に入った。
その間も遊女は舟を揺らしていたが、静まったかと思った直後、脳天に揺れる胸を叩き落され、いよいよ鳳仙は二つの衝撃で気を失ってしまうのだった。
どこかに運ばれて寝かされた鳳仙はまず、漢方の匂いと上方訛りの女の声を理解した。
鈴の音と落ち着いた上方訛りで話しかけてくる声。
顔を覗き込んできた相手は声のイメージよりかは思いのほか若く、そして綺麗で、鳳仙の女性が苦手なことまでは見抜けずにずいずいと顔を近づけて口を開けるよう迫ってくる。

いい加減鳳仙が戸惑って口を開けないのを見ると豹変して、突然口汚い言葉を連発し、頬を掴んで強引に口を開けさせたのだった。
傍には筋骨隆々な助手の日輪。
渡してきたのは漢方を煎じて湯で溶いたらしい湯飲み茶碗。
薬は安く仕入れられるから安心して飲んでいいと女が微笑んだ直後、彼女を竜胆と呼びながら慌ただしく入ってきたのは椿だった。
安く仕入れられると言っていたのは、友人の椿に原料を方々走らせて採取させているからのようだった。

そして一際目立ち、数も多い鬼灯。
鬼灯は地下茎の煎じ湯を飲んだり、根の乾燥粉末を塗り込んだり、根の薄皮は三日間貼り付けたりと、そういう方法で使われるものだった。
使う場所というのが女の膣の中で、鬼灯はいわゆる堕胎に使用される用だった。
堕胎は禁じられた行為だった。
しかし、女医という立場上、竜胆の元には欲に塗れた男やのっぴきならない事情を抱えた女が来ることが多かった。

そして椿と鳳仙は、男と触れ合ったこともないような女が妊娠したという話を竜胆から聞かされた。
竜胆が診断したその女は女しかいない尼寺に住む尼僧で、今朝方往診に行ったばかりの新鮮な情報だった。
尼僧は一言、御仏の子だと言い切ったという。
男に触れずとも妊娠したとあって聞き捨てならなくなった椿は酒を煽って管を巻き、その笹百合とやらが処女であり得るはずがないといちゃもんを付け始めた。
だから竜胆は処女の自分が分かるはずもないと言い返し、寡黙な日輪と女が苦手の鳳仙を色めき立たせた。
ついでに竜胆は、医師としてそれなりに知っている尼寺に男がいるはずがないともいう。

こんなすぐには答えが出てこない謎なら、いつもの椿なら嬉々として探り始めるはずだったが、今回に限っては酔い潰れるほど熱く語ったことに、鳳仙は解せない。
その理由は、竜胆は話されずとも理解していた。
尼寺で妊娠した尼僧から本当に子が生まれ、それが御仏の子ともなれば、周りの僧が快く受け入れるとは思えない。
悲惨な未来を想像した椿はだから、普通の方法でできた子の可能性を否定しなかったのだ。

そして後日、お節介でお人好しな一面を発揮した椿は鳳仙を伴って彼を利用し、うまく尼寺に入り込んだ。
御仏の子を身籠ったと語る笹百合は、別段危険な感じもせず、俗世のことに興味を抱いている人懐っこい女だった。
ただ、自分が知る唯一の世界のこの尼寺から疎まれ始めているのを気づいているのかどうか、話しただけでは分からなかった。
椿が尼僧生活を始めた初日の夜、笹百合は大きくなったお腹でも、また紫苑と肌を重ね合い、男根を模したモノに突かれてよがり喘いでいた。

そして、事件が起きた…
感想
当て屋の椿2巻でした。
面白度☆7 エログロ度☆7
エロ度は維持し、グロ度は抑え目になったかと思います。
浄瑠璃人形編は真相が解明されるところまで、尼寺編は3巻に続く形で終わっています。
竜胆という女医キャラが出てきたので、彼女の痴態も期待したいと思います。
https://www.kuroneko0920.com/archives/57642



































