27話
まさにミクロキッズ。
屋上に脱出して安全だと思った矢先、少し背の高い中学生くらいの巨人に見つかってしまった零たちは、一目散に元来た道を駆け戻った。
巨人も必死に手を伸ばし、屋上との出入口に突っ込んできたが、二人は文字通り階段を飛び降りて下の階まで逃げ切ることができた。
巨人の手は踊り場にまで達していて、少しでも気を抜けば掴まれるのは避けられそうにない。
巨人中学生は届かなかったことに悪態を吐き、他の奴らに裏に回れと声をかける。

まるで、猫か何かを捕まえようとしている感覚だった。
二人は顔中に脂汗を噴き出しながら、声を掛け合う。
これからどうすべきか訊かれた零は家に帰るんだと答え、呼吸を落ち着けながらまずカバンを取りに行くことにした。
しかし廊下に出れば、窓外にいる巨人に見つかり騒がれ始めた。
巨人たちが見世物を見て笑うように微笑む中、二人は全力疾走で廊下を駆け抜けていく。
あっちこっちの窓から手が突っ込まれてくるが、二人はとにかく走ることだけに集中し、ギリギリで巨大な手から逃れていく。

言葉が分かる分、巨人たちが逃げ惑う二人をとても面白がっているのが伝わり、恐怖がぐんぐん膨れ上がっていくが、こけたのを笑われても脇目も振らず足を動かした。
何とか巨人の目から逃げ切った二人は一旦休憩し、自分たちの教室に入って鞄を取った。
しかし気を抜き過ぎていたせいでまたあっさり見つかり、教室を飛び出して再び全速力の続きを始めなければならなくなった。
それでも裏口に向かう廊下を通ったおかげでまた撒くことができ、そのまま外に出た。
その直後、スカートを穿いてランドセルを背負った巨大女子小学生に見つかり、その後ろにも坊ちゃん刈りで服のサイズが合っていない底意地が悪そうな巨大男子も現れた。

二人は腹の底から絶叫し、反対方向へ走り出したが、巨人は一歩進むだけで追いついてくる。
二人はそれでも走り、障害物を利用し、身体を捻って逃げ続けようとする。
だが先回りしていた育ちが悪そうな男子に掴まえられてしまい、逃走劇はあっけなく終わりを告げた。

すると今度は数人の警官が現れ、零を捕まえた巨人に発砲し始めた。
地獄に仏、天の助け。
頭を集中的に狙われた巨人は明らかに痛がり、ダメージを受けていた。
しかし警官たちは零に当たりそうになっても構わず撃ちまくるので、代わりに友達が怒声を放った。
とは言え、警官が支給されている銃では致命傷を与えられず、怒った巨人に蹴散らされてしまう。
女子も加わって踏みつけられた警官たちは、あっけなく返り討ちにされた。
これでまた、零のあの世行きが避けられなくなったと思われた。
しかし今度は、猟友会のメンバーらしい男たちが現れ、警官の拳銃の比にならない威力のライフルで的確に巨人の頭を撃ち始めた。

巨人も洒落にならない威力のようで、仰け反り叫び、ついに逃げ出した。
当然男たちは追いかけて容赦なく撃ち続け、頭を集中的に狙い続ける。
巨人は泣き言を漏らし始めて本当に泣き出し、足取りもフラフラと覚束なくなり始めた。
そして校庭に辿り着いたところで、力尽きて倒れたのだった。
他数体いた女子の巨人もいつの間にか仕留められていたようで、男たちは歓喜の声を上げた。

巨人は零を離さぬまま倒れていた。
だが、握り潰しはしなかったようで、友達の呼びかけに目を開いた零は、家に帰ろうと答えた。



































