28話
無事に巨人の包囲網から救出され、家へと帰っていく零たち。
ただ巨人が出現していたのは学校周辺だけではもちろんなく、そこら中でパトカーのサイレンが鳴り響き、発砲音が空気を切り裂いていた。
駅前で警官と猟友会のおじさんたちが戦っていたのは、どう見てもどこにでもいる普通のおじさんサラリーマンで、頭を撃たれて痛い痛いと悲鳴を上げていた。

彼らのように銃火器さえ持っていれば、どうにでも返り討ちにできそうに思えた。
こんな訳の分からない状況でも電車はちゃんと運行していて、日本社会の律義さ、思いやり、融通や臨機応変の利かなさが感じられる。
二人は今にも発車しそうな電車に駆け込み乗車すると、さっきまでの非日常をすっかり忘れそうな通常時のテンションに戻った。
零は母親が無事かどうか電話するのに電車内だから躊躇うが、周りを見てみれば、こんな時にマナーなんて守ってられるかという人間がチラホラいたので、一人じゃないと思えた彼も電話をかけた。
しかし、窓から外の景色を見て電話に集中できなくなった。
流れていく景色はある意味地獄絵図だった。
セーラー服を着た巨大ハゲジジイ。
回しを締めた巨大力士。
普通の巨大子供。
成人式帰りみたいな袴姿のなんちゃってヤンキー。
そして宙を舞う地球人。

他にもまだまだいて、かなりバラエティに富んだ巨人の人選になっていた。
特攻服を着た暴走族風の歩き巨人。
坊主・サングラス・刺青のヤクザ風巨人。
河川敷で警官隊が撃ちまくっているのは全裸のハゲ男とまた力士。
ビル街にも力士がいて、もしかしたら両国が近いのかも知れない。
東京駅前は完全にヤクザが蔓延っていた。
刀に全身刺青にふんどしにパンチパーマか剃り込みのオンパレード。
極道はサラリーマンほどか弱くなく、見たまんまの暴力性を発揮していた。
渋谷辺りでは、顔だけババアで手足はすらりとエロい巨大JK風が、地球人を捕まえて地球の女子校生と同じような言葉遣いで楽しんでいた。
人間を食ったのか顔面を撃たれたのか分からないが、口周りは血で汚れているように見え、顔だけ50~60代の衰え具合なので、余計恐ろしく見えた。

そして浅草寺では金剛力士像二体が動き出し、観光客を取っ捕まえていた。
そして共通していたのは、渋谷でも浅草でも人々に危機感がないことだった。
無事最寄りの駅に運ばれた零は友達とお互い生きてまた会えることを願い、別れた。
地元駅前でも巨人と警官との戦闘は繰り広げられていたが、少し慣れてきた零はひたすらに家まで走り切り、何にも関わらずに両親の抱擁を受けることができた。
親子3人無事に再会できたことに感謝しつつ、テレビニュースを観てみると、いつ決定したのか分からないが政府の自衛隊派遣決定というニュースを聞き、パパは動きの遅さに憤慨したが、理由はこんな時でも会社に行くつもり満々だったからだ。
そしてママは、理解が追いつかないことに頭を抱えるしかなかった。

そして夜も遅くなり、零はいつもと変わらず自室のベッドに入って目を瞑っていたが、そこら中から聞こえるサイレンに巨人の足音、それに誰かの叫び声や助けを求める声、窓がぶち破られたらしい音まで聞こえてくると、さすがに目を瞑っていられなくなった。
直後、自分の部屋の窓が破られて巨大な手が入ってきた。
自分だけは大丈夫。
そんななんの根拠もない希望を誰もが持っているが、彼にはまだ巨大な彼女が助けてくれる可能性がなくはなかった。

しかし…
感想
ギガント26話27話28話でした。
これは事態を収束させるためにパピコが釈放される、とはいかないでしょうね。
でかいだけで耐久力は地球人と同程度みたいですし、子供だからか頭もあまり良くなかったみたいですね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/56050
https://www.kuroneko0920.com/archives/14995



































