81話
組長への忠誠心を優先した烏丸を刀を振り、周囲に浮かぶ風船を切り裂いた。
人ではなく風船を切っていることを感触と臭いで判別する中、捉えられる人の位置は水野だけ。
それ以外は全部切るつもりで殺意を漲らせていく。
そして、美依那が投げたナイフの気配も感じ取り、斬り落として見せた。
ただ美依那はナイフを囮に使っただけで、ワイヤーに繋がった手錠を烏丸の腕に嵌め、背後の手すりと繋いでいたのだった。
烏丸が一般人の人殺しを厭わなくなったことの衝撃がもう消えた美依那は、スカートをたくし上げて隠していた大量の手錠を取り出し、お得意のマジックを披露し始めた。

操り人形を操るように自在に手錠を飛ばす美依那。
手すりを通って戻ってくる手錠は烏丸の手首、足首、首に絡みついて動きを封じ、あっという間に烏丸の自由を奪い取った。
今度は本当に身動きを封じられてしまった烏丸はどうすることもできず、ネックレスを首にかけられても何を言うこともできない。
美依那は勝利を確信し、ネックレスをよじってくびり殺そうとしていく。

烏丸の状況を把握していないのか、水野は自分に絡みつく糸を切れと怒鳴り続けている。
その声がそろそろ聞こえるようになってきたのか、烏丸は絶体絶命のこの状況でも、形勢逆転を諦めていなかった。
なぜなら、烏丸はまだ隠し玉を持っていた。
今でこそヤクザのボディガードをしているが、元々公安警察官として反社会組織にスパイとして潜り込んでいた。
しかし、些細なミスで正体がバレ、拷問を受け、一切の温情なく両目の視力を奪われてしまったのだった。
この時も烏丸は体を拘束されていたからこそ目を焼かれて視力を奪われたのだが、その後に拘束から抜け出してヤクザ共を皆殺しにしたのだった。
それも警察組織への計り知れない忠誠心がさせた離れ業だった。
しかし、警察は視力を失った烏丸を見限り、元からいなかった者として放逐した。
そうして絶望した烏丸に居場所を与えたのが、烏丸が潜入していた組織の幹部だった水野であり、烏丸は篤い忠誠心を水野に向けた。
そしてようやく水野の叫びが聴こえるようになった烏丸は、もう一度、ヤクザを皆殺しにした時の特技を使うことにした。

手首が足首が、肩が、首がポキポキと音を立ててぐにゃぐにゃになっていく。
全身の関節を外して異常なレベルな柔軟性を発揮できる烏丸は、特異体質によって手錠から抜け出す程度のことは難なくクリアできた。
またしてもとてつもないキモい姿を見せた烏丸に、美依那は普通にキモっ、と零した。

その声も完全に察知できた烏丸は、刀を振り下ろした。
美依那はギリギリで躱すことができたが、烏丸はすぐに目標を霧子のワイヤーに変えて突進。
美依那が霧子に危険を知らせるが間に合わず、烏丸は一閃でワイヤーを切り裂いた。
いきなりワイヤーの張りを失った霧子は体勢を崩し、すかさず蹴りを繰り出してきた水野の動きに対応できない。
しかし、寸でのところで仁奈が間に入って父親の強烈な蹴りを受け止め、霧子を庇った。

再び自由を取り戻した水野は既に、ズボンを突き破りそうなほどフル勃起させていた。
真上にそそり立って膨らむ股間をそのままに、蹴り飛ばした息子に尻を出せと迫る。
極悪非道な変態ヤクザでも、息子を手にかけるほど情がないわけではなく、今までの性的虐待同様、アナルを犯すことで手打ちにしてやろうという考えだった。
もちろん霧子のアナルもガッツリ拡張するつもりだった。

関節を戻して元のクールな素に戻った烏丸は、勃起している雇い主の言に従い、美依那の相手を務めることにした。
近接戦闘の一騎打ちになった烏丸は既に勝利を確信し、美依那の腹を掻っ捌いて大便が零れだし、異臭を放つ様子をありありと思い浮かべてニヤつく。
美依那はナイフを構えて受けて立ったが、搦手が使えない状況では烏丸の腕に敵う道理がなかった。
ナイフの防御をすり抜け、刀の切っ先が腹に近づいてくる刹那の動きを美依那は目で追えたが、体は追いついてくれない。
だが美依那にも助けが間に入り、同じく刀を武器にしているあやが受け止めてくれた。

駆けつけたのはあやだけではなかった。
メイド服で揃えた堂島姉妹。
変態露出狂のカレン。
アナルウォッカで幹部を始末したカチュア。
一気に7対2の状況に変わったのだった。
































