34話
午前の牛飼娘とのデートを終えた彼は、受付嬢との待ち合わせ場所に向かった。
先に待っていた受付嬢はウエストの細さと胸がつんと突き出たスタイルの良さが強調された服装で待ち、背後に彼が立ったのが足音で分かると、午前中は楽しかったか訊ねた。
ああと答えた彼が待たせたと謝ると、受付嬢は今来たところ、なんてデートを楽しみにしていたお約束の台詞を返して顔を赤らめた。
そして、実際は遅刻でも待つのも好きだからと伝えた。

並んで歩くだけで笑顔が零れる受付嬢が彼に苦手な食べ物を訊くと、彼は強いて言うなら中毒の可能性や臭いが気になる魚は避けたいと答えた。
あくまで冒険にそぐうかそぐわないかの彼の判断基準。
受付嬢は魚の臭いで揉めていたあるパーティのことを思い出した。
ブラブラ歩いているうち、川に架かる橋に着くと、受付嬢は少し柵から身を乗り出し、吹き抜ける風を感じて小さく声を漏らした。

彼が落ちるのを心配しても、無邪気な笑顔を返し、山から流れて海まで通じる川を見て、彼に水の都のことを訊き、またゴブリンの本格的な話題に入りそうになる。
その時、小舟に女騎士と重戦士が乗っているのを見つけ、自分と同じように乙女心を発揮して頑張っている彼女を見て、受付嬢は微笑ましく思った。

また賑やかな界隈に戻ると、彼はステージでやっているマジックショーで足を止めた。
何もないところから竜、卵、鳥が次々出て来て受付嬢は驚くが、彼にしてみれば、うまくミスディレクションしていることが分かったので、そのテクニックも戦闘に繋げられるという。
いつもどこでも冒険者として振舞う彼に、受付嬢は自分も同じように職場での顔しか見せていないと思い、次は自分が行きたかったところに案内することにした。

受付嬢が連れて行ったのは二人とも馴染みあるギルドだった。
今日ばかりはお休みで誰もおらず薄暗い中、受付嬢が準備で職員フロアに行くと、彼は待っている間に、条件反射のように掲示板に吸い寄せられ、ゴブリンの依頼があるか探し、ないことを確認した。
すぐに戻って来た受付嬢はランタンと鍵束を手に、職員フロアに誘う。
部外者の彼は入って大丈夫なのか気にすると、受付嬢は躊躇いなくダメだと言いつつ、だから内緒ですと悪戯な笑みを見せ、彼がまだ知らない世界へ促した。



































