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しかし、僅かながらに呻き声のようなものが聞こえてきた。

 

蓮華が顔を起こすと、うつ伏せで倒れている神城がぼそぼそと何かを喋っているのが分かった。

 

 

駆け寄った蓮華は神城の症状からすぐに有機リン系のガスだと思い至り、まだ特効薬で助けられる可能性に希望を見出した。

 

神城と同じように肌から毒ガスを洗い流すため服を脱がすと、既に手足に痙攣が起こっていることから、一命を取り留めても戦力になるほど回復は見込めないかも知れないと思った。

 

それでも水をかけ始めた。

 

だが神城が生きているのに妨害がないなら、敵側も神城の脅威は無くなったと判断しているからだと思えてくる。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

蓮華が自覚している捜索作戦の肝は、神城が誰よりも人命を助けられる戦力になるのが根底にあった。

 

しかし今や神城は助けられる側になり、厳しい言い方をすればお荷物でしかない。

 

だから、ここで瀕死の神城一人にかかずらっている暇があるなら、秋保脱出に協力する方が効率的でらぎ姉のためになるのも蓮華は理解していた。

 

 

そう考えると迷いが生まれ、今すぐここを離れるべきなのか、葛藤が襲い掛かってきた。

 

その時、神城が声を振り絞ってまともな言葉で話しかけてきた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

膝をついて聞く体勢になった蓮華の膝に手を置き、途切れ途切れに先に淀川を助けて欲しいと懇願する神城。

 

蓮華は見たままの事実を包み隠さず、既に亡くなっていることを伝えた。

 

すると神城は一瞬言葉を無くし、次に様々な感情が入り混じった涙を流して男泣きを始めたのだった。

 

 

人類最強かも知れない、名実ともに英雄級の活躍をしてきた男の涙。

助けられた時から恋をした男の涙。

 

蓮華は初めてそれを見て、胸の高鳴りを止められなくなった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

だが抱きしめて慰めるのではなく、神城を再び最強戦力にすべく、悲しみも甘えも乗り越えるよう鼓舞した。

 

 

助けられる側ではなく、助ける側の人間。

今まで助けてきた人々の光を取り戻した表情。

そのこそ、神城有自身なのだと励ました。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

武装した海兵隊が避難民を殺戮すべく動き出し、避難者が新たな保菌者に変えられていき、脱出できずに恐怖している。

そこに晴輝がリーダーとして覚醒し、逆境の中に光明が見え始めている現状。

 

そこまで説明した蓮華は泣きじゃくる神城に、私がいくらでも支えるから再び立ち上がれと指示した。

 

手厳しい女の叫びを聞かされた神城は悲しみを押し殺し、薬を頼んだ。

 

 

喜び勇んで承った蓮華は再び走り出すが、自分が間違った選択をしているのを十分に理解していたので、足を止めるべきだと言い聞かせた。

 

直後、その通りに足を止め、一旦呼吸を落ち着けて再び顔を上げて前を見た。

 

すると、何者かが行く先を塞ぐように立っていた。

 

日本刀を携えた高木だった。

 

 

高木は前置きなく斬りかかってきたが、蓮華は紙一重で躱し、ないと思い込んでいた妨害が現れたと冷静に理解した。

 

間髪入れずに顔を狙ってきた突きに笑みが零れた蓮華は手の平を犠牲にして躱し、妨害があったことへの嬉しさを隠し切れなくなった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

まだ、神城を助ける意味は大いにあるはずだった。

 

 

感想

インフェクション134話135話でした。

今回は蓮華のざっくりとした半生と性癖が語られましたが、やはりピークはお風呂場での修羅場になりかけた回ですね。

高木VS蓮華。

まだ実力を描かれていなかった二人の戦闘力がどれほどか、期待が高まります。

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