137話
最後の隠し玉だったテーザー銃が失敗に終わっても、高木の一撃必殺の一閃を見切った蓮華は見事に躱し、懐に飛び込み、もう一度スタンガンを突き刺して電撃を食らわせることに成功した。
さしもの高木も、電気への耐久力は常人並みのようだった。

まさに死闘。
左手の平をほぼ切り裂かれて大量出血が止まらない蓮華は酷く呼吸を乱しながら、やっと落ち着いて倒れた高木を見下ろした。
銃を拾って抜かりなく高木の頭を撃ち、確実に止めを刺した。
しかし、それだけではどうも足りない気がしたのか、高木が手放した刀も拾い、心臓を貫いておいた。

無残に死んでいるはずの高木のそばで救急セットから道具を取り出し、袖を引きちぎって手早く応急処置を施していく。
ただ本当に応急程度の治療しかできず、アドレナリンが切れたらとてつもない激痛に襲われるだろうと思い、もう戦闘に参加するのは無理だと悟った。
いや、それどころか洒落にならないこの大怪我なら、しっかり止血しないと命が危ないと感じて冷や汗も垂れてきた。
あっと言う間に赤く染まる包帯代わりの袖の切れ端。
それを見つめた蓮華は歯を食いしばって立ち、任された役目を果たすために進み出した。
死を覚悟してみると、秋保に来てから自分が見てきた才能の開花に思いを馳せる余裕が出てきた。
様々なものに翻弄されて否応なく成長せざるを得なかった人間たちが輝かしく強くなっていく様に、とても楽しさと喜びを感じていた蓮華は、やはりらぎ姉の成長を思うと何にも代えがたい幸福を感じた。
そして最期に、劇的に愛した男のために命を懸けられる。
これぞハッピーエンドな人生だと自分を鼓舞しても、出血と痛みによる疲労は如何ともしがたく、いつまで経っても呼吸が整わない。
そうして特効薬を取って、戦いの現場に戻ると、高木の死体が忽然と消えていた。

常識的に考えれば、仲間が持ち去ったとしか思えない。
しかし、既に一度確実に死んでいた高木が現れたのだから、再び蘇った可能性も十分にある。
そうは思っても冷静に状況を飲み込む分しか体力が残っていない蓮華は頭をフル回転させ、高木が蘇ってまた妨害してきたらどうしようもないことだけを理解した。
できれば助けを呼びたかったが、秋保の各所でも避難民を守るためにそれぞれが戦っていると知った今、とてもSOSなど出せるはずがなかった。

それに、蓮華はもう心を決めていた。































