84話
ガリアのデスボールをシンプルにスピードで躱したナゴミは背後に回り、無防備な背中を貫いた。
いきなりお腹から槍の先っぽが飛び出したガリアは驚いて声をも出ずに視線を下に向け、その間にナゴミは槍を引き抜いて大量出血のダメージも追加した。

まさかの攻勢に先輩ガーディアン3人は開いた口が塞がらない。
その間にナゴミは止めを刺そうと後頭部を狙ったが、今度はバリアでガードされて防がれてしまった。
格闘技を見るように一喜一憂するミサキに構わず、ガリアはまたデスボールを生成し始める。
しかしそれを完成させる前にナゴミは柄頭で後頭部をしたたかに殴りつけ、千年生きる魔女をぶっ倒すことに成功した。

ダウンを奪ったことで今度はリリアが歓喜。
まだナゴミの攻撃が届く意味が分からないモモのために、リリアが攻撃と防御が同時にできないみたいだと説明。
それをいち早く見抜いたナゴミは、その隙を狙っているんだと補足。
その穴だらけのシステムがバレたとて気にしないガリアは近づかせる暇もなくもう一度デスボールを作り、ボッと放った。
その素早い一撃さえも圧倒的なスピードで躱したナゴミは、ガリアの上を取り、無防備な脳天に槍を突き刺して地面に叩きつけ、キスさせた。
速さにもミサキが驚く中、ナゴミは少女にしか見えない魔女の頭から槍を引き抜いた。

そして槍に付着した血を振り払い、クールに勝利を掴み取って見せた。
まさかたった一人で魔女を撃退するとは思っていなかった住人たちは歓声を上げ、ジャイアントキリングを喜んだ。
生意気な後輩とは言え、魔女を返り討ちにした実力にミサキたちも驚くばかりだった。

その時、腹部と頭を貫かれたガリアはジュビジュビと音を発しながら気持ち悪いゲルみたいに形を変えていき、みるみる真の姿を現した。
魔女とは名ばかりの気持ち悪いモンスターに変化したガリア。
ナゴミも青ざめる真の姿は、トレマーズに出てくるグラボイズを彷彿とさせる巨大触手タイプだった。
禍々しく、恐ろしく、気持ち悪い。
誰もがそう感じて言葉もなく、どれだけの静寂が街を包んだのか、誰かが「魔女が変態した」と呟いた後、ガリアは活動を開始した。

甲殻に覆われた尻尾を振り上げて地面ごとナゴミを押し潰そうとしたが、大して速くない一撃を彼女は軽々避けて飛び上がり、耳がどこにあるかも分からなくなったガリアに約束を守れと叫びながら突っ込んだ。

実力に裏打ちされた自信で突っ込んだのではなく、グラボイズ状態の魔女相手で勝ち目はないと判断したナゴミは自ら口の中にダイブし、今日の食事になったのだった。
まさにグラボイズのごとく、ナゴミを噛み砕きながら胃の腑に流し込んだガリア。
また誰も何もできずに無言で見つめる中、食い終わったガリアは一瞬静止した後、頭から地面に突っ込んで地中に潜り始めた。
一撃離脱の感じも、まさにグラボイズ。
全身をうねらせながらザッシュザッシュと地中を掘り進む様子を、全員が姿が消えるまで緊張感を持って見守るしかなかった。

やがて完全に姿が消えると、リリアはようやくナゴミの死を実感して膝をついた。
新人でさえナゴミが突っ込んだ意味を理解しているのに、ここでも察しが悪いモモは約束がなんのことか分かっていなかったので、ミサキは仕方なく悲しみと悔しさを堪えて説明してあげた。
街を潰させないため、ナゴミは初日のエサになったのだと。
































