36話
いよいよ飛ぶ時がやってきた。
パピコはビルさえ小さく見える上空からの光景に躊躇し、脂汗を浮かせながら後ろを振り返った。
しかし隊長らしく隊員は轟々と吹きすさぶ風の中、口の動きは確実にダイブしろと言っていた。
死刑を宣告されたパピコに選択肢は他になく、覚悟を決めて空に飛んだ。
とてつもない轟音が耳を塞ぎ、風圧が顔の肉を押し上げ、思わず口が開いて涎が身体より上に残されていく。

とにかく怖くて仕方ないパピコはこわいこわいと独り言を漏らし、過呼吸のように呼吸が乱れ始める。
恐怖の中、教えられたとおりにパラシュートを開いて、ようやく落下スピードが弱まっていくと、少しずつ冷静さを取り戻していく。
しっかり地上を見る余裕が出てきたパピコは、どんどん近づいていく破壊神をしっかり視界に捉えた。

そしてスーツからちゃんと出していた巨大化装置を回した。
近くにいた隊員たちはその様子を見守っていた。
パピコはみるみる大きくなり、すぐに家をも超える大きさになると、スーツが耐えきれずにはじけ飛んだ。
東京を救うという使命を帯びたパピコは、前の戦いと同様、羞恥心など感じていないようだった。

その頃、まだ電車内に留まっていた零は、グラつく中、外を眺めながらママに最後になるかも知れないメッセージを送っていた。
ついに一発食らい、地面に倒れて空を仰いでいた諦めの境地の警官は、パラシュート部隊が降りてくるのに気づいて再び目に光を宿そうとしていた。
だが、地上に降りた隊員たちは、破壊神相手に何もできるはずのない無力感と非現実的過ぎる光景に言葉を失い、ただ見上げている者ばかりだった。
なぜかビルの屋上にいた人たちは、とにかく叫んでいた。
死にたくない、お母さん、うわあああ。
女子校生と外国人彼氏は落ち着いたものだったが、いよいよ彼女たちの前に破壊神が接近してきた。
太陽を遮って逆光になり、暗い影にしか見えなくなった破壊神の姿は、まさに破壊神という名前がぴったりだった。
直後、破壊神に比べればまだまだ小さいが、パピコが地上に降り立ち、一体の破壊神と対峙した。

兵器では全く太刀打ちできない破壊神。
そこに投入されたでかいだけのAV女優。
東京の、果ては日本の命運は、年下男子との愛に溢れたセッ〇スにハマっていた、ピンクヘアのセクシー女優に託されたのだった。

































