28話
仲間を失ってソロになっていたあの若い戦士は、欠伸を噛み殺しながらギルドで依頼を探していた。
時刻は昼前。
粗方無くなった依頼書の中、一人でこなせそうな依頼は少なく、戦士はそもそも文字が読めなかった。
本当ならエルフの子に教えてもらい、徐々に覚えているはずだった。
ないものねだりをしても仕方なく今日を生きる糧を得るため、受付嬢に見繕ってもらおうと思ったその時、初々しそうな声で廃坑の地図作りならすぐに向かおうと聞こえてきた。
戦士が思わず危機感のなさに声をかけると、そこにいたのは全く見たことのない明らかな新人パーティーだった。

ただ、モンスターがいる可能性を考えての地図作りの依頼だろうと指摘すると、ポニーテールの武闘家が素直に耳を傾てくれ、彼らは依頼を受けるかどうかから改めて話し合い始めた。
身を守るろくな武具もなさそうで、戦士は勢いだけで何とかなると思っていた頃の自分と彼らを重ね合わせた。
何かアドバイスすべきか。
と思っても、駆け出しに毛が生えた程度の自分が先輩面するのもおこがましく、冒険者はどうしたって自己責任だと思った戦士は踵を返し、カウンターに向かった。
すると、律儀に武闘家娘がお礼を言いに来た。

背中を向けて仲間のところに戻る武闘家娘の揺れるポニーテールが、今度はあの子の後ろ姿に重なって見えた。
戦士は自分を助ける意味でも、冒険がどれほど危険か分かっていない彼らにもう一度声をかけたのだった。
廃坑の奥。
一気呵成に襲い来るゴブリン。
前線で向かい受けた武闘家娘は見事な回し蹴りで側頭部を凹ませ、一撃必殺を決めた。

戦士が剣を抜いて加勢するまでもなかったが、おそらく東の方で起こった合戦の残党が流れてきて廃坑に潜んでいるものと思われた。
一番の経験者として指示が出しやすい中間ポジションを取っていた戦士は、一際巨躯で元講師の先生と呼ばれている獣人に地図役を任せていた。
武闘家娘にオツムは期待できなくともそれなりの実力があるのでいいとして、残り二人、斥候役のドワーフ娘と地母神の信仰に目覚めたエルフとの相性はかなり悪いようで、二人を組ませるのは不安が大きかった。

ドワーフ娘に突っ込み過ぎるなと注意すればエルフがほくそ笑み、煽って喧嘩を売るなとエルフに注意すればドワーフ娘がほくそ笑む。
そして最後には、ドワーフ娘に宗教に目覚めたいきさつを暴露されたエルフが反論できずに争いが終わるのが常のようだった。
全員合流し、改めて奥へ向かおうとしたその時、先生が嫌な臭いを察知した。
戦士と武闘家娘が前に出て、先生は呪文の準備、ドワーフ娘とエルフは後衛で先生を守る役目についた。
闇の奥からどんどん近づいてくる、ギラついた目の光。
ゴブリンの新手に後ろには、恰幅の良いホブがうなりを上げて暴れ回っていた。

ホブとは本来巨体という意味だと先生が講師らしく訂正すれば、解毒しか奇跡が使えないエルフは毒の香りを感じて出番登場だとばかりに調子に乗り、またドワーフが茶々を入れる。
比較的厚い装備を身につけている戦士が毒剣を装備しているゴブリン共の相手を請け負うと、武闘家娘は皆まで言われる前に、ホブを請け負った。
感想
ゴブリンスレイヤー外伝26話27話28話でした。
さり気にアークメイジの助力がありましたが、彼はやっぱり基本的に立ち回りの上手さが実力の根幹ですね。
矜持と知識欲。
共に人の世の泰平に繋がるなら、得意なことに邁進するのがいいんでしょうね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/62147
https://www.kuroneko0920.com/archives/19767



































