90話
五角形で区画整理されたミースの街。
住人の女の子たちはガリアが破壊した建物の片づけ、修復に追われて忙しく立ち働いていた。
彼らはその中心、サンドワームに変態したガリアが地中に潜って開けた大穴を確認していた。
隕石でも落ちたような大穴を前にして彼は普通に怖くなり、魔法だけで無双並みに強いのに巨大化までされたらやってられないと思った。
しかし、頬を染めて期待を寄せるミサキの視線のプレッシャーもなかなかだった。

その期待に応えてやりたいのは山々だが、今回は前回のガリア戦と違ってカヅチの強力な尻穴の筋肉もないし、毎日一回現れるのだからペースが早すぎた。
ガリアに翻弄されっ放しの現状を嘆きたくなったその時、初対面のキアに話しかけられた。
新人ガーディアンだと自己紹介してくれるので、本当に心から大変な時に配属されたなと不運を労うと、キアはそれを否定し、街防衛のために積んできた訓練の成果を発揮できる場があるのは、本望なことだと答えた。

横一線の眉毛。
ジト目。
三角の口。
真っすぐに本望だと口に出すキアに危なさを感じた彼は、一応素肌には触れないように肩に手を置き、言ってやった。
命を粗末にするなと。
約束を促されたキアは、突然触れてきた手の大きさや力強さを感じ、女とは違うそれにしっかり注目した。

そしてやはり、気持ち悪いと思った。
もしかしたらキアは、男がいないから仕方なくではなく、生まれつき女の子が好きなタイプかも知れなかった。
この世界では女の子に無双できると思い込んでいる彼がまさか早々に嫌われているなど思いもしていないその時、街の警鐘がカンカンと叩かれ始めた。
ただ穴がどんなものが確認しただけで、もうガリアが来てしまったのだった。
ガリアは遠慮を知らないお隣さんのクソガキみたいに、軽いノリでご飯食べさせてと叫んでいた。
仰々しい魔法陣で門が守られていても、さも楽しそうな笑顔を見せられた彼は、無駄な被害を防ぐべく開門を指示した。

取りあえず今日は自分とガーディアンだけで対峙しようと思い、一般住人は家に閉じこもっておくようお触れを出させた。
そうするなら策はあると思い、キアは策はあるのか訊ねるが、彼ははっきりないと答えて失望もさせた。

とは言え、アマネの眼の能力を知っている彼はそれを使えばガリアも倒せるかも知れないと思っていたが、命と引換えのそれを策と言えるほど人任せにするつもりはなかった。
さて、無駄に街が壊されないよう、また大穴が開いている広場でガリアと相対した。
すると当然、ガリアはここにいるはずのない彼がいることに驚くが、どこでも扉を使ったことを容易に察した。
そんなことは今どうでもよく、今日食われてくれるのは誰か訊ねた。
アマネしか策がない彼は、取りあえず食わせる飯はないと言おうとしたが、言い切る前にキアが名乗り出た。
そして彼に、命を粗末にするなという約束は早々に守れそうにないことを伝え、明日からの街の運命を任せた。

勇敢な自己犠牲でいい雰囲気になったのが気に食わないガリアは、たった一日で自分を倒せると思われたことに気分を害し、人間という種族をバカにした。
一日問題を先延ばしにしただけだろうと指摘された彼は、問題そのものが言うなと心中でツッコみながら、その指摘はその通りだと思うしかなかった。

まともに戦って勝てる相手じゃないし、今回はケートスの時みたいにネットで弱点を下調べしていない。
だがもしかして、今が荒廃した遠い未来なら、書物でガリア攻略の知識を得られるかも知れないと気づいた。
自分なら文字が読める可能性がある以上、それに気づくのが遅れた機転の利かなさを嘆いた。
直後、ガリアはキアがまだ処女なことに気づき、一生に一度もない、男がいる時代に生まれた奇跡を体験しながら処女のままは気の毒だと言い出した。
だからまた彼に公開交尾を指示すると、キアも例に漏れずに顔を火照らせた。

もちろん温情以上に、カヅチ同様、ガリアは自尊心が奪われていく様を見て楽しむつもりだった。
だから彼もカヅチの時と同じく、メリットのない辱めは断った。
それも柔軟に話しを聞いてくれるガリアは彼の浅ましい要求を認め、交尾したら今日の捕食は無しにすると条件を出したのだ。
実は既に今日ビキニウサギを平らげたらしく、空腹感はそれほどないのだという。
まさかの奇跡的展開。
一日あれば書物を調べる時間ができると思った彼は、すぐに了承した。
しかし、キュッと内股になっていたキアはきっぱりと断った。
男がいなかったのだから男嫌いもないはずのキアの狼狽え様は、とてつもない恥ずかしさに比べたら死を選んだ方がマシだと思っているように見えた。




































