42話
やはり彼女がいない薄暗い部屋にいて、一気に寂しさがこみ上げた零。
直後、何者かに背中にしがみ付かれ、反射的に大声が出た。
パピコの秘密を漏らさないために張っていた政府の人間か。
いや、背中に当たる柔らかい感触を感じながらベッドに押し倒された彼はまだ何者か分かっていなかったが、おそるおそる後ろを振り返り、ぷっくりした唇、ピンクの艶やかな髪、涙を流している大きな瞳で最高の再会をしていることに気づき、彼女と同じように涙が溢れ出た。

彼はおかえりというのが精一杯で、嗚咽に言葉が詰まる。
パピコも会いたかったと何度も言ううちに感情がこみ上げ、声が言葉にならなくなっていき、ただ喜びを伝えるためのキスをおでこから始め、唇に下ろしていき、思いっきり抱きしめた。
死を感じた巨人大戦に勝利したが、拭いきれない不安を快感で忘れるために、二人はすぐに素肌を重ね合わせて腰を打ちつけ合っていく。
彼が上になった正常位で腰を振れば、彼女はしっかり足を絡めて密着。
二人とも身体を起こすと座位で上に擦りつけ、その後はバックでひたすらに快感を貪り合う。

命の危険を感じた生物が死ぬ前に子孫を残さんとするかのように、これでもかと性器を合わせまくった二人。
ヤリにヤってもう息が全然整わなくなったところで一旦休憩し、またギュッと抱きしめ合い、お互いの存在を確かめるような余韻に浸り始めた。
スッキリしたところで少し落ち着いた零は、パピコの右目の眼帯が気になり、大丈夫か訊いてみると、彼女は腫れてるだけだと答えた。
彼が鍵をずっと戻しに来なかったことを気にすると、彼女はすぐ来ると思ったと返し、会いたいが故に返して欲しいと送ったのだと悪戯に微笑む。
今はこうして無事に会えているが、また日本の危機が訪れればパピコは出動を要請されて破壊神なり何なりと戦わなければならない。
彼は愚図るが、大人な分、死刑から免れた彼女の方が割り切れていた。
それにETEは遮断されるらしいので、パピコはきっと大丈夫だと励まし、AV女優も辞めるつもりだと打ち明けた。

英雄になり、殺されかけた時に思い出したのは年下の一途な彼のこと。
もう仕事でも他の男とセック〇したくなかったパピコは、逆に辞めることについてどう思うか訊いた。
すると彼もAV女優の彼女のファンだったとしても、実は辛かったと打ち明け、パピコの選択に感謝した。
パピコが潔く仕事を辞められるのも、零パパの話があったように、芸能関係での仕事がわんさかと舞い込んでいたからだった。
番号がどこからか漏れたのは気持ち悪いが、テレビタレントなり映画出演なりの話があるようで、そういう形で世間に求められるなら、セック〇が好きだからで始めたAV女優を続けなくても、承認欲求は満たされるのだ。
そんな価値観を話した直後、パピコの携帯にまた着信があったかと思ったら、勝手にしゃべり始めた。

呼びかけていないのに、siriの音声で話しかけてきたそれは、明らかに今の会話を聞いた上でのリアクションだった。
私達は人類の中でも特に興味深いパピコについてもっと知りたい、分析し、研究したい。
siriらしき声でそんな不穏なことを一方的に捲し立てた何かは、零が手に持つとフッと文字が消えた。
誤作動?ハッキング?
可能性を挙げても分かるはずの無い二人は気味悪がったが、今はこの熱い感動の夜をもっと楽しみたくなった。
だから、得体の知れない携帯をそのままにし、二回戦をおっぱじめたのだった。

































