音声案内で解除されますと繰り返され、続いて解凍が始まると、程なくカバーが開き、大公は何年かぶりに目を開けた。
姫は絵理沙や美来のように生きて欲しい願いを込めながら呼びかけ、父の顔を覗き込んだ。
すると大公も反応を見せ、娘の名を呼び返したのだ。

ワクチンが効き、バイタル安定、出血無し、大公は無事にMKウイルスへの抵抗力を手に入れることができていた。
ついに待ち望んだ成果をあげた彼は、万歳で喜びを表した。
そしてワクチンを作り上げたシン博士にも賞賛の声を送ると、彼女は彼と絵理沙にも計り知れない感謝の気持ちを返したのだった。
人類再生の道が始まったのを祝福するかのように、庭の池にいた白鳥が飛び立った。
そして姫の側近のオリガは喜びを共有することなく、建物の陰で人目を忍び、何者かに大公が無事に目覚めたことを報告していたのだった。

一方、UW日本支部。
椅子にふんぞり返っているクロエは大公が無事に目覚めた報告を受け、本国のマザーたちが喜ぶと皮肉交じりっぽく答えていた。

ポープが焦りを見せる代わりに落ち着いた様子のクロエは、ワクチン開発成功にも既に然るべき手を打っているようだった。
それよりも今は、せっせと子作りに励んでいた火野であり、彼に男児を孕まされたクサカベユカリが目下の問題と見ていた。
もし生まれてくる男児がウイルスへの抵抗力を持っていたら…
その場合はおぞましき手に出そうな感じを匂わせ、闇を湛えた目で二人の写真を見つめた。

その時、カレンが珍しく申し訳なそうに声をかけてきた。
どうやら失態を犯したらしく、先に怒らないでねと前置きしてから、火野とクサカベに逃げられちゃったと報告し、テヘペロで切り抜けようとした。
件の二人は、石動が運転するトラックのコンテナに隠れ、逃避行していた。

感想
終末のハーレム78話79話でした。
人の想いで奇跡が起きた気持ち良くもご都合主義な展開ですが、シリアスな恋愛色が強いのは好きです。
終わりが近づいてきた雰囲気がありますが、まずは男嫌いのUWトップの顔が気になります。
https://www.kuroneko0920.com/archives/68215



































