帰るなり彼はすぐ、原稿があがったばかりでぐったりくつろいでいるみちるに両親が来ることを告げ、以前の勝敗の条件を持ち出し、会うなら会ってみるかと訊いてみた。
今まで忘れていたみちるはハッと思い出すが、めんどくさいし本気で親の顔を見たいわけじゃなかったし、石井との打ち合わせがあるから別にいいと言い放った。

残念なような、安心したような、ともかく彼はみちるが帰って来るまでに両親を帰そうとだけ決め、話しは終わった。
そして当日、何も知らない両親が初めて息子の部屋を訪れた。
何時までしか無理だと念を押す息子の部屋は意外に広く、かつ家賃も安く、それよりも母は不動産屋の定番で休みの水曜に押しかけたことを気にしていた。
そして彼も、父に戸の大きな穴を発見されたタイミングで、前カノと別れたことを言っていないのを思い出した。
だから、まだ付き合っている体で今はみちるの部屋になっているそこには入らないよう言い含め、変な関係の巨乳漫画家と鉢合わせることだけは避けねばと思った。
近所付き合いのお土産、母の味、トイレを借りる父。
あっと言う間に時間が過ぎ、父の資産運用の講義の中、手持無沙汰で掃除機なんてかけ始めちゃった母が思わず流れで禁断の部屋の戸を開けてしまった。
果たしてみちるの部屋の中に、何があるのを見たのか。
母が青ざめ知らない仲じゃないもう息子と無関係の彼女に詫びでもしようかと言い出すも、息子の急かしでお暇するかと言ってくれたその父がここに来て、急に足を攣らせてしまうのだった。

そしてそのタイムロスで時間ギリギリになり、玄関で両親とみちるは顔を合わせてしまった。
みちるは社会人らしく、初対面で同居人の両親に対して礼儀正しく挨拶をし、親子の時間を邪魔せぬよう外で打ち合わせの続きをしようと言ってくれる。

息子の青ざめた顔を見て瞬時に察した母も場を和ませにかかるが、石井の顔を見てしまった彼はどうしようもない嫉妬に駆られ、我慢できずにこの部屋の主らしくみちるたちに偉そうな態度を取った。
それでもう気を遣う気の無くなったみちるは、両親に真実を知ってもらうことに決め、これでもかと悪く微笑んだ。

そしてドカドカと我が物顔で部屋の中に入り、石井とアシスタントの女の子を招き入れ、ここがちゃんと家賃を払っている分の私の部屋だと紹介したのだった。



































