第8話 約束
早希は瞬を助けるために駆けた。その途中で、奇怪な姿に変えられた生物を多く見た。業魔について教えられてきたことだけは真実だったのだと知ると同時に、瞬が業魔になった現実を突きつけられる。
だが、今は瞬に会って思いを伝えたい。これからも一緒にいたい気持ちでいっぱいだった。
巨大な草むらを搔き分けやっと瞬の下に辿り着いた。近づくなという瞬の言葉を無視して、逃さないように抱きしめた。

明るく振舞う早希に向けて、瞬は無瞋上人から教えられた真実を話し出す。
業魔化の治療法はない。
呪力は常に人間の体から漏れていて、その無意識下に漏れ出している呪力が周囲を変容させる原因である。
その穢れた呪力をそのままにしないために、どこかに向ける必要がありそれが八丁標の外だ。
幼い頃から八丁標の外が暗黒の世界だと教えられてきたのは、町の中でお互いが被曝し合わないようにする刷り込みだった。
そして業魔とは、「橋本・アッペルバウム症候群」と呼ばれる、呪力の異常漏出が止まらなくなった人間のことだった。

瞬は如何に絶望的な状況なのかを丁寧に説明し、早希にして欲しいことなんてないと突き放してその場を去っていった。辛い運命にある好きな人一人さえ助けられない不甲斐なさに、早希は涙が止められなかった。

自分の思いを無理やり押し込め、好きな人を突き放した瞬は、ふらふらと森を抜け太陽が反射して輝く湖に辿り着き、そこを最期の場所に選んだ。水の中に足を踏み入れただけで、どす黒く変色して水が腐っていく。それでももっと深くへと足を進めていく。
その時、早希が追いついて来た。何を言われても何を見せられても離れない。だって、ずっと好きだったんだから。
大好きな人に好きだと言われた瞬は、真実を知ってから初めて自分の本当の気持ちを言った。

瞬の呪力は空を覆い、頭上にオーロラを生み出した。早希をお姫様だっこして、空を駆け抜けていく。宇宙と地球の境目まで上がると目の前にオーロラが広がっていた。
愛を囁き合う二人。しかし、二人きりの時間はそう長く続かなかった。呪力が暴走を始めると、瞬は「ミノシロモドキ」を探せ。それが世界を知る鍵だと伝えた。これ以上、不幸な運命を辿る人がいなくなる世界を作ってくれと願いを託し、早希を地上に戻した。

うたた寝から目覚めた早希は、衝撃の連続だった夏季キャンプを、この5人で過ごしたいい思い出として振り返る。
早希、真理亜、覚、守、そして良の5人で過ごした一夏を・・・
感想
新世界より2巻でした。
面白度:☆7 展開度:☆8
命をかけた脱出劇の疲れが残ったまま、残酷な真実と別れを経験した早希と瞬。いいテンポで進んでいって読みやすかったです。
悪い顔する時の表情がいい味出していて、おもしろさのポイントになっていると思います。
2巻は百合エロシーンがなかったので、3巻に期待しましょう。
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