83話
ベッドの上でゆかりが痛みに絶叫していた。
火野は自分の子を産もうとしている彼女の手を握り、声をかけ続ける。
ナースの朱音が産道の前に陣取り、産まれくる男児を待ち構えた。

まさに命を懸けたお産の中、頭が見えてくると励ましの声とゆかりの絶叫が熱を帯びていく。
リビングで待っていたまひるは、どうしても赤ん坊がウイルスに侵されている可能性を考え、不安になってしまう。
やがて部屋の中がしんと静まり返った矢先、朱音が顔を出して彼だけ入ってくるよう呼んだ。
何とも言えない空気に包まれた部屋に入った彼は、火野が鼻を啜っている音を聞き、最悪の結末を察して息を飲んだ。
しかし振り返った火野は喜びの涙を流していただけで、もう自分そっくりだと分かる我が息子を見せてあげた。

人類が大きな一歩を踏み出した瞬間だった。
外気に触れてもウイルスを発症しない男児の誕生は、ただの新たな命ではなく、彼は声もなくガッツポーズの力を込め、最高の結果を祝福した。
やがて疲れ切った面々が寝静まった頃、絵理沙に呼び出されていた彼は未だ覚悟が決まらぬまま、奥の泉のエリアに向かった。
程なく泉エリアに着くと、先に来て待っていた絵理沙と美来がたたっと駆け寄ってきた。
美来は既に、彼が抱きやすいように胸元も露わな脱がしやすい服を着ていた。

ここに来たのなら、美来とのメイティングを受け入れたということ。
絵理沙が改めて確認するが、本人の前ではっきり言い辛い彼は、まずどうしてそうなったのか詳しい説明を求めた。
そんなのは今更な話で、最も貴重な人間であるナンバーズにはできる限り多くの人と子作りしてもらわなければならないからだと絵理沙はいい、自分が美来とのメイティングを許可しているのだから拒む理由はないはずだと追い詰める。

何と言っても、美来は自分の遺伝子から作られたクローンで双子のようなもの。
どんどん彼の逃げ道を奪っていく絵理沙は最後に、美来と二人じゃなく、自分も加えて3Pで子作りしようと提案したのだった。




































