ローザの正体
世の中は戦争、災害、犯罪の報道が引きも切らず、そんな中にひっそりとほっこり心温まる出来事が申し訳なさそうに隠れていた。
そしてうだつの上がらないおっさんが今日もどこかで、上司のストレスの捌け口にされながらも何も言い返せずに項垂れていた。

もちろん周りに味方になってくれる同僚などおらず、自分たちに火の粉が飛ばないことだけを気にして、おっさんの頭が下がるのを安心して見ていた。
ナンバーワンよりオンリーワン?
おっさんは聞き心地だけが良い言葉に辟易していた。
そうして日々ストレスを溜め、だらりと公園のベンチに座っていると、突然ローザと呼びかけられた。
ローザが目の前のくたびれた五十前のおっさんだと突き止めたいのりは、色んな炎上案件に首を突っ込んでは油を撒き散らし、更に炎を大きくしていくのは現実のストレス発散になって、さぞ楽しいだろうと皮肉った。

心中まで言い当てられたおっさんは恥ずかしさと同時に、アカウントから特定されたことに慄いた。
嘉門が父に宣戦布告した後、いのりは見張っていたニル諸共拘束されてしまっていた。
シューニャシステムについてどう思うか訊ねた嘉門は、本来は人と人を繋げるシステムであり、少子化を緩和するため偶然の出会いを提供するものだったという。
通称シロウサギシステムと言い、出会いの分析を重ねて精度を高めていき、縁結びを成功させるようになっていった。

同時に人間の行動分析は犯罪者予備軍も見つけられるようになり、そういった人間は縁結びの対象から外れていき、まだ犯罪予防策として使用されてはいなかった。
だが秘密裏に犯罪者予備軍を嗅ぎ分ける精度も高められていき、シューニャシステムとして完成したのだった。
世の中に害をなす前に死んだ方がいいと思われた人間、それらを殺したい人間に始末させるのを思いついたのが嘉門の父であり官房長官の北大路だ。

権力に囚われた父に復讐するため、嘉門は二人に選択を迫った。
北大路の手の平の上で無敵の人狩りのテロリストとして始末されるか、嘉門の手伝いをするか。
そして今、ローザの中の人に会いに来たいのりは、お前のせいで友達が死んだのだと伝えてみた。
すると、結局他者に虐げられているおっさんも心はドブみたいに汚いことが分かり、これでもかと責任逃れな発言を捲し立て、正論を吐き散らして口元を歪めて煽った。
いのりは甘んじてそれを認め、だからおっさんと同じようにストレス発散で足に突き刺してやった。

おっさんの喘ぎでスッキリしたいのりは、弱者を守ってくれない社会のルールを守る必要などないと結論付け、ローカを付けて次の指示を確かめた。
しかし現れたのはシロウサギシステムで、処分対象は北大路官房長官か命令拒否した元守護者の男だった。
次の処分対象にされないためには、いのりはどちらかを選ぶしかなかったが果たして…

感想
無敵の人3巻にて完結です。
面白度☆7 スッキリ度☆7
おっさんは足の腱でも切ってやればと思いましたね。
奈落の羊との繋がりもあり、また社会の闇を炙り出すような内容はなかなか興味深く読めました。



































