135話
母を恨んでいたあやは、実は母に愛され守られていたと知り、ここで人生を閉じようと思った。
膝をつき、ラスボス村長の銃弾を受けようとしたが、意思に反して都井睦夫が身体を動かし、華麗な反転で戦いを選んだのだった。

重傷を負いながらも全力で駆けて一旦逃げたあや。
長い時間をかけて村人たちに憎しみを募らせていった都井は、皆殺し計画を立てた時も、まさに異常なレベルで怒りを持続させ、綿密に準備を整えていった。
その執念深さも刷り込まれているあやは、やはり村民皆殺し計画の火を消せはしなかった。
ただに逃げたとは言え、雪に残る足跡と血痕を辿ればいいだけの村長は狩人気分で追いかけられてテンションを上げ、あやの次は龍野も始末し、悠々自適の北国人狩り生活を夢想した。
そして辿り着いたのは、寺の裏山の大木だった。
そこで足跡が消えており、余裕をかましながら辺りを窺った村長は亀甲縛りで木を登れはしないと見て、不自然に盛り上がっている雪溜まりにぶっ放した。
そんな安直なところになど潜んでいないあやは、枝から飛び降りて隙だらけの背中に斬りつけた。

緊縛を解き、新たな武器も手にしていたあやは、これもまた都井の用意周到さのおかげで村内各地に武器を隠していた。
木のうろに何本も得物を隠していたのはもちろん龍野が渡したものであり、その際、あやは発火して記憶がなかったので、今夜まで龍野の思惑に気づかなかったのだ。
二刀流になったあやの一閃を防いだ村長は、さっきと同じように耳元でぶっ放してまた怯ませようとするが、相手は同じ攻撃を二度も食らうほど迂闊ではなかった。
二刀流なのだから片方で銃を持つ指を砕いたあやは、カウンターの流れでその腕を斬り落とし、勝負をつけた。
銃を奪い取り、今までの恨みを込め、同じ龍野の被害者でありながら差別の急先鋒だった変態を罵った。

そして引き金を引き、都井として、あやとしての目的を達成したのだった。
しかしこれで終わりではなく、この惨劇の元凶である龍野を殺さねば終わるものも終わらない。
あやは寺に戻って龍野の姿を探すが露と消え去っていた。
龍野…せんせい…
怒りよりも悲しさが強くなったあやは残酷な一言を繰り出した時の顔を思い出し、計算された野望のための優しさを泣きながら責めたのだった。

そして村民大虐殺の罪を全て擦り付けられ、あやは羽黒に収監されたのだった。
こうしてカチュアに語り終えたあや。
似たり寄ったりな辛い過去を聴き終えたカチュアがアマゴにかぶりつこうかとしたその時、背後の草むらから音がした。
そこにいたのは、あやの昔語りを盗み聞いていた千歌だった。

アマゴの焼ける匂いに釣られて辿り着いた千歌は思わぬ話に涙するが、あやは同情など願い下げでナイフを突きつけた。
しかし、あや程でないにせよ、訳の分からぬうちにハメられた千歌は共感から涙を流したのだ。
そんな発火時とのギャップが、あやは嫌いではなかった。



































