136話
あやの昔語りが終わったところで3人はアジトに帰り、皆揃って朝食の席に着いた。
アマゴの匂いに誘われるほど嗅覚が優れて貪欲な千歌が感嘆の声を漏らすメニューは、朝っぱらから豪華の一言だった。
昨夜のガチ切れも過去の話、霧子は朝から腕を振るってありがたい食材を見事な食事に昇華させていた。

美依那がホッと一息つく味噌汁は、ジコボウという山梨辺りじゃ人気のキノコが入っている。
甲斐サーモンと言いつつ、葡萄の搾りカスを食べさせたブランドニジマスの造りを堪能するカレン。
これらの食材は、霧子が働き始めたばかりの魚屋の店主に貰った物で、その魅力で早くも惚れさせてしまったかも知れないとほくそ笑む霧子。
朝から他愛ない会話で盛り上がっていくのを見た千歌は、霧子の気持ちが上向いているのに安心したが、明日の夜までに真希を助け出さないと取り返しがつかないことを忘れていなかった。
小夜子を撃ったのは許しがたいが、最愛の姉を失い、憎しみに囚われる気持ちが理解できないではなかった。
そんな千歌の変化に小夜子は目敏く気づきながらも、和やかな雰囲気の間に作戦について切り出した。

羽黒から下された命令は教祖と龍野の始末のみで、真希の救出は別個で考えるべきとし、教団が信者や一般人を巻き込むのを良しとしてないのなら、土日を使って真希に説得を試み、戦わずして助け出すのが最善だと進言。
結局は明日の夜までに実行しなければならず、美依那は情報の少なさから反対した。
しかし、真希だけでも助けたい霧子は本当に敵対する前に動くべきだという。
その時、女医が助け舟とばかりに話しに割って入り、調べられた情報を提供し始めた。
友坂が裏切った以上、九龍城内部のマップは大まかな構造を頼りにするしかなく、後は幹部の顔と名前程度。
そこで千歌は、あの勃起関節野郎もその一人だと知った。

それはそれとして、この情報を真希救出に活用すればいいという女医の言葉に千歌は違和感を抱いた。
急に人情味を見せた女医も女医で、自分の極悪非道ぶりに少し思うところがあるようだった。
そして千歌は、真希を救うべく決意を新たにした。

一方、道隆の行方を捜していた胡桃沢は教団に潜入してもらった先輩ジャーナリストと落ち合い、仕入れた情報を聞いていた。
先輩の斯波はきっちり道隆の足跡を見つけてはいたが、外に出ても教団の法衣をまとうほど、もう教祖のチン〇法悦の虜になっていた。
だから後輩の胡桃沢だろうと関係なくナイフをあてがい、チン〇法悦を邪魔する奴は教祖のためにアーカーシャーに送ろうとした。

その時、斯波の頬に石礫がめりこんだ。
偶然にもロードワークしていたレイカが通りかかり、見事な投石でブチ当てたのだ。
斯波は邪魔してきたババアから始末しようとするが、ただのおっさんを捻り飛ばすくらいレイカにとってわけないことだった。

こうして若さを保っているレイカに助けられた胡桃沢。
この偶然の出会いが、新たな出会いを作ってくれたのだった。
感想
サタノファニ134話135話136話でした。
龍野も被害者みたいに自分語りしましたが、女医に負けず劣らずのマッドサインティストなのは変わらずでした。
この危機的状況から都井らしさ全開で切り抜け、千歌もアマゴを食べれたところでまた戦火に身を投じるのですね。
千歌と小夜子だけ別のテーブルなのは、何かのフラグのようで気になります。
https://www.kuroneko0920.com/archives/70893



































