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ライムライト・レモネードジャム

179話

彼は川内の避難所を訪れていた。

 

 

騒動初期に多くの避難民が集まり、新型に襲われ、今や多くの死体が転がっている惨憺たる光景が広がっているばかり。

 

保菌者に噛まれて死んだように眠っていた者たちは感染者として起き上がり、驚異的な身体能力で消防士たちを屠り、瞬く間に全滅に追い込んだ。

 

ただ彼は久しぶりにここに来て、死体が全く腐っていないことに疑問を抱いた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

隔離地域内の死体は腐敗していないという情報は聞いていたが、ではそのことに母のどんな思惑が秘められているのかは見当もつかない。

 

それでも噛まれただけでは仮死状態のようになるだけでまだ希望があると思えば、救いはある。

 

それも香里の頭脳と父が開発したフィルターで作った特効薬があればこそだが、現状、手に入れられる状況ではなく、らぎ姉を助けられない。

 

そこで彼ははたと、母も一本持っていたことを思い出し、何とか手に入れられないかと考えた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

しかし、素直に渡してくれるならそもそもらぎ姉を噛んだりする意味がない。

 

稀代の大テロリストになった母を殺して奪うしかないとも考えたが、どんな悪事を働こうが母親をはいそうでうかと殺す覚悟ができるわけがなかった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

答えが出ずにマンションへの道を走らせていると、橋に差しかかったところで高木を見つけた。

 

 

銃で頭を撃って死んだと思っていた高木が普通にぶらついているのに驚き、喜んだ彼は車を降りて駆け寄るが、高木は感動の再会の感傷に浸る様子はなく、淡々と言葉を返した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

ここは二人が何らかの約束をした場所だが、まだ彼に記憶が戻っていないことが分かると、高木はそのことに安心した。

 

彼はモヤモヤとするが、それよりもらぎ姉を助けるために特効薬を母からもらえないかと頼んだ。

 

もちろん、らぎ姉がどうなろうと知ったことではない高木がいつもの底の見えない笑顔で断ると、彼はせめて母の居場所だけでもとせがむと、高木は親殺しの覚悟を問うた。

 

その覚悟もできてない彼ははぐらかし、誰も死なせたくな思いで必死にやってきた結果、もう誰にも弱音を漏らせなくなっていることを打ち明け、唯一、高木にだけは弱い姿を見せられるんだと縋り付いた。

 

そして今の自分が最悪に辛いことに耐えられるのか訊ねた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

正直な告白に感謝を示した高木だが、誰かを守りたい気持ちは個人的な欲求で自分には関係ないと切り捨て、全てを受け入れられるほど成長することを願った。

 

ここまでの成長も過程を考えればとても素晴らしいことばかりではないと指摘するが、生物として適応するがの如く、渚の元に辿り着けることを信じていると締め、能力で姿を消したのだった。

 

 

 

どうなるか分からない未来のことは一旦置いて、今日できることをやろうと切り替えた彼は、とにかくらぎ姉のとてつもない不安を少しでも和らげようと思い、マンションに帰った。

 

彼がそうしてくれるだろうことを察していたのか、らぎ姉はリラックスした部屋着に着替え、風呂の準備をしてくれていた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

感想

インフェクション177話178話179話でした。

何でもありが過ぎて展開はどうでもよくなってきましたが、とにかく理由だけは本当にしっくり感じれたらいいなと思います。

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https://www.kuroneko0920.com/archives/70992