リザードマンは腰低く頷きつつも、まずはボスの聖騎士にお目通りをと進言し、作戦通りに真っ先に頭目を始末する方向に誘導しようとする。
しかし、もう怒りが抑えられなかった令嬢が乱心してしまい、ゴブリンに掴みかかった。

ナイフを握っているゴブリンの手が振られ、女神官の頬を切り裂く。
令嬢は構わずナイフを叩き落とすと、首根っこを押さえたまま地面に叩きつけて憤怒の表情で見下ろした。
合理性より憎しみを優先してしまった令嬢の拳が振り下ろされ、立てた作戦がさっそく壊れてしまった。

ひしゃげる顔面、飛び散る血、傷を負う令嬢の拳。
歯を食いしばり、絶叫し、怒りが抑えられない令嬢は何度も拳を叩きつけ、鬼の如く荒ぶった。

傷を負わされた女神官が止めようとするが、令嬢はそれさえも乱暴に振り払って我がままを突き通そうとするので、さすがにエルフも見ていられずに声を荒げた。
そんな風にして騒げば、当然牢内で楽しんでいる他のゴブリンに気づかれてしまう。

一匹が異変に気づき、侵入者に気づき、慌てて仲間たちに知らせようと走るのを追いかけた彼は音もなく始末したが、階段の上からも様子を見に来ようとしている奴がいた。
死体をどうするか、これ以上雑魚を殺しても潜入がバレるリスクが高まるのみ。
そこでリザードマンは令嬢を押しのけたエルフに悲鳴を上げろと指示した。
驚いたエルフはそれでもすぐに意味を察し、迫真の演技でどうにか騒ぎを収束させることに成功した。



































