死ぬか生きるか
副長の原が殺されたことで、次は阿部が指揮を執ることになった。
洞窟に入ってからおよそ11時間、一人を見張りに立ててひと眠りすることに決まった。
吉川の怪我を多少手慣れている沼口が処置した後、実際戦って驚異的な猿の強さを実感した吉川の言葉で銃の使用を願い出るが、政府を代表して来ている高橋は自分は絶対に死なないとでも思っているのか許可しようとしなかった。
水は残り一日分、早乙女は宮田のことを思いながら目を閉じた。
洞窟潜入からおよそ18時間、再び班を分けて出口捜索を開始。
相変わらず口だけ出す3人は何もしないまま、一向に出口が見つかりそうな気配もなく時間だけが過ぎ、体力が奪われ続けていった。

そのまま、洞窟に潜ってからあっという間に丸二日近くが過ぎようとしていた。
更に阿部の求心力はイマイチで、出口が見つからない絶望感も相まって士気は下がりに下がっていた。
もう一つおまけに木ノ下の自己中心ぶりはうなぎ上り、自衛官なら国民のために自分の食糧を差し出せと言い放つ始末。

本来の腐った人格に汚物が塗り込まれ始めたところで、高橋が絶望の止めとばかりに水が無くなった今、もう二日半も経てば飢え死にも出てくるだろうと冷静に分析し、絶望とクズの混乱を煽った。
やがて何も光がないまま66時間ほどが過ぎると、あれだけ喚いていた木ノ下は自分の小便を飲み、自分一人だけでも助かるためとはいえあがき始めた。
そして最後のなけなしの配給が配られ、また何時間か経った。
元気のある者などおらず、隊長の容態も危険だと思われ、赤崎は幼体の心配をし続けるのみ。
そして重傷を負って一番先にくたばってもおかしくない吉川が猿を食べようと言い出した。

その提案をきっかけに、生きるのに精一杯な者と死なば諸共のクズとで一触即発の対立が一気に表面化してしまった。
命令の一言で銃を振りかざし、猿食いを阻止しようとする高橋、ただ可愛いだけでまた文句ばかりを吐く赤崎、死が間近に迫っても生物学的見地で反対するバカ学者。
それを千葉と吉川がナイフを握りしめ、力づくで黙らせようとする。
しかし同じような死地を生き抜いた早乙女は幼体がいるなら親がいて当たり前、つまり繁殖しているならまだ他にも猿がいるはずで、今は新鮮な血肉で生き延びて新たに捕獲すればいいと提案した。
ここで全員死ぬか、生きてチャンスに懸けるかの二択を提示されれば、武力で武装してイキっている高橋も賛成する理由が持てた。

赤崎は最後まで反対し続けるが、これは究極の多数決。
しかし猿の血肉を喰らって希望に変えだした矢先、ランプのバッテリーが切れてしまうのだった。
まだ他にもライトがあるとはいえ、光を失えばまともに動けなくなるのは必然。
再び言いしれぬ恐怖に襲われて暗い雰囲気に包まれかけたその時、救世主とばかりに隊長が目を覚ましたのだった。

絶大な信頼を得ている隊長の目覚めで隊員たちは一瞬で湧き、これまでの経緯を説明した。
隊長は水だけ啜って助けられた不甲斐なさを詫びると、猿肉で生きのびられる時間を想定し、自然に全員に冷静さを取り戻させていく。
その時、山で生き残った早乙女が湿った土を利用して水分を捻り出した方法を説明すると、洞窟は水が削り出して作られるものが大半だと根本的な構造に思い至り、猿から流れた血が岩の隙間に向かっているのに気づいた。
隊長の目覚めで冷静さを取り戻したことにより、事態は徐々に好転の気配を見せ始めた。
水に運ばれた土。
岩の隙間に消えていく血。
希望を胸に掘り進む隊員たち。
猿の血肉を拒み、幻覚を見始める赤崎。
変わらず文句だけいっちょ前の無能学者。
そしてまた起きた地震が、ついに脱出口が開かれる。

水、意地、新たな重傷者、そして再会へ…
感想
モンキーピーク the Rock2巻でした。
面白度☆9 勝手に死ね度☆9
政府の人間、学者と院生のクズっぷりは凄まじく、優先順位の違いは分からんでもないですが自分のせいで人が死んでも文句を言える根性は長生きしそうですね。
この雰囲気、誰かが裏切り者とかではなく、シンプルなパニックホラーっぽいですね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/72575



































