嫁に娶る
遊女の投げ込み寺に朝霧を葬った幸乃助は、悲しみと怒りをぶつけなければ気が済まず、阿片より苦しむ死に方を兄から訊くと、さっそく自分に阿片を吸わせた遊女の一人を快楽の虜にさせて出所を問い詰めた。

横浜外国人居留地にいるエリック。
アメリカの町並みを思い出す風景に堂々と一人で繰り出した幸乃助は、日本人禁止の看板を無視してバーに入り、件の人物を知らないか訊ねた。
治外法権が認められている場所だが、憎しみに囚われている幸乃助は喧嘩自慢らしい大きな外国人を容易く返り討ちにし、エリックらしい男を問い詰めて黒幕と相対した。
そして阿片を日本に流していたのが、洞門沙夜だと知ってしまうのだった。
秘密を知ったのが幸乃助だろうと、容赦せず斬って捨てようとする沙夜。
刑法改正により斬首刑は激減し、人丹や試し斬りも禁止された今、沙夜は首切り家として貧民への施しや死者の弔いを続け、奉公人も食っていかせるため、阿片の密売に手を付けたのだ。
今更阿片で誰が死のうが、今まで数え切れないほど罪なき人の首を腐った法の下に斬ってきた沙夜はどうでもよく、そうして出た甘い汁を吸って生きてきた華族の幸乃助を逆に皮肉った。

沙夜のため、この国の理不尽を正すためにと海を渡り、見識を広げたつもりの幸乃助は全てが無駄だったと思い知り、反論もできずに沙夜に斬られた。
結果的に幸乃助は出血の割に傷は浅く、すぐに手当てされて助かった。
そして洞門沙夜とエリックは下手人として、あっさり捕まっていた。
目覚めた幸乃助は今夜のうちに沙夜が、皮肉にも絞首刑にされると聞かされた。

愛息子を殺されかけた愛洲の両親は激怒しており、新しい絞首刑でその最期を見届けてやろうとするが、沙夜は潔く涼しい顔で受け入れようとしていた。
しかしそこに早馬が現れて処刑を止め、宮内卿からの手紙を読み上げた。
手紙を書いたのは幸乃助であり、傷に対して死刑は不当だという嘆願書と、沙夜を妻として娶るというプロポーズも含まれていた。

助けられた沙夜は屈辱だとして怒りに震えるが、彼女への愛が止まらない幸乃助は欧米諸国で知った愛を誓う時に指輪を送る習慣をさっそく取り入れ、どれぐらいの覚悟で愛したいのかを伝えた。
刀を捨てるのならば、華族の身分を捨てて駆け落ちしようと。
沙夜は幸乃助の勢いに圧されて馬に乗り、彼が子供の頃によく遊んだという森の中の小屋に一旦落ち着いた。
初めての釣り、触れられるとトキメク心、手が届きそうな星空の下でこれから二人で生きていく覚悟を決めた口づけを。

五右衛門風呂で身体を清めながら、ついに今夜沙夜を抱くと思うと浮ついてしまう幸乃助が風呂から上がると、彼女は消えていた。
幸乃助を斬ると脅され、雇われ浪人に落ちぶれた奴らに仕方なくついていった沙夜。
彼らを雇ったのは、沙夜以上に幸乃助を心から愛している晴美だった。

沙夜がゴロツキ共に囲まれ犯されそうになっている頃、晴美はどうしてこれほど幸乃助を愛しているかを語った…
感想
首を斬らねば分かるまい3巻でした。
面白度☆8 ままならない度☆8
沙夜の狂気と頬を赤らめた時のギャップが大きすぎて、めちゃくちゃ可愛いですね。
首斬り家もまた、お上の沙汰に従ってやっているだけなので、時代の被害者と言えるかもしれません。
https://www.kuroneko0920.com/archives/73585
































